しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「天使の鬱屈」 アンドリュー・テイラー  

2006年04月20日 | 読書
『Requiem For An Angel』3部作の最終巻
ウェンディ・アップルヤードが過去を振り返って話す物語。
ウェンディは夫のヘンリーとの離婚問題からお酒の量が増え、それを心配した寄宿舎学校時代の親友、ジャネット・バイフィールドはロシントンの自分の所へ来る様に勧める。
ジャネットの夫、ディヴィッドは、神学校の副校長で、ヘンリーとも友達だった。
ジャネットには、もうすぐ5歳になる娘のロージーがいた。
そして、ウェンディが来た日に、ジャネットの父親、ジョン・トリーヴァーも訪ねて来ていたが、痴呆が始まり奇妙な行動をするジョンは、そのまま一緒に暮らすことになる。
ウェンディは教会付属の図書館で働き始め、半世紀前の聖職者にして詩人のフランシスの事を知り、興味を持ち調べ始める。フランシスには邪悪な噂があった。
そして、身の回りで羽根を切られた鳩が発見され、ウェンディに先回りし邪魔をする様にフランシスの事を調べる人物が現われる。


これで「天使の遊戯」の「エンジェル」の正体、生立ちがわかるのだが、フランシスにまつわる話は、直接エンジェルには影響していない気もする。
が、しかし、こういう環境の中で育った事はやはり影響があるのだろう。
エンジェルは何を感じ、なにを学んだのだろう。エンジェルはずっと鬱屈した思いを抱いて大きくなったのだ。

ロージーが人形の「エンジェル」を抱いている姿を想像すると、ぞくぞくする怖さを感じる。暗い闇の様な目をしているのだろう、と。
父親は聖職者なのに、少しも気が付いていない。それは始めからだった。
それでも、聖職者としてはずっとやってこられるのだから、宗教って何だろうと思ってしまう。
善より、悪に向かう方が同じ宗教として考えると強いのかも知れない。
幹になる話に、かなり血生ぐさいエピソードが付く為、陰鬱な話ではある。

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