それでも、乗りたいねん! その3

2018-11-08 00:14:24 | つれづれ思うまま
警察署に着いたのは、お昼前。

「失ったと届け出た免許証が出てきました、どこへ報告すればいいでしょう?」と聞くと、
〇〇の窓口で口頭で伝えてもらったらいいですよ、とのこと。

言われた通り、
ワタシ「〇〇所持の免許証が見つかりましたので連絡に来ました」
警官 「はい、よかったですね、そのままどうぞ使ってください」
ワタシ「えっ? このまま使えるんですか?」
警官 「そうです」
ワタシ「何かの手続きなく使えるんですね、でもワタシたちちょっと相談したいこともあるんですけど…」
警官 「例えば、どんなことですか?」
ワタシ「免許証が使えるというのはわかりました、でも本人はご覧の通りの高齢者で、今後免許を持ち続けることに家族は不安を感じています。
    何かアドバイスをいただけるということはできませんか?」
警官 「ちょっと待ってください、別の係に聞いてみますから」

まぁ、ここまではそれなりに進みましたが、丁度お昼休憩の交代時間と重なってしまい、署内も人手薄な時間に突入です。

そこで、今までの経過を簡単に係の人に伝えさせていただく。

・家族としては、今後免許を持たせていいのか悩んでること
・免許証を返納した場合、家族としてどんな協力も惜しまないこと
・父の自動車の運転に不安を感じていること
・本人は、まだまだ運転を続けたいらしい
・車を傷つけることが多くなってきたこと
・物損ならまだいい、これが人身事故になってしまったら…と考えると家族は不安であること などを伝えました。

わかりました、ただお昼の時間帯になってしまいましたので、改めて午後に来てくださいますか?
できれば、ご本人の載っている車を見せていただきたいですね、と言われ
いつでも来ますので、よろしく相談に乗ってくださいと伝え、こちらも一旦昼食休憩。

父本人は、免許証が出てきたことに安堵しているようだけど、こちらとしては不安がいっぱいなのに…
彼は、昼食は目いっぱいたらふく食べるし、母は母で今関係ないことをペチャクチャしゃべるし、
もう~~、ワタシは食べていても気が滅入るばかり、、、

どうやって、この不安な気持ちを伝えようか、と悩み
警察の人は(交番でも言われたのだけど)免許証を持つのを辞めなさい!とは言えません。
これはあくまでもご自身の問題ですからね、
助言はしますが、あとは本人次第、家族の説得あるのみ!なんですね。
そりゃわかる、辞めてくれとは言えない彼らに、父への説得を託すわけにはいかないのだけど、何かしらのヒントがほしい。

そう思うのは、同じような親を持つ人にとっては、喫緊の課題のような気がする、きっとワタシだけじゃないはず、、、
すがる思いで再び警察署に向かう、今度は父の車を旦那さんに運転してもらっての再出動ですわ。

お待ちしていましたと、出迎えてくれました。
相談の前にワタシが、父の車を持ってきましたと伝えると、じゃ早速見せてもらいましょうね、と。

婦警さんでしたが、車を見ての第一声「これは、かなりの衝撃のように見えますねぇ、バンパーが壊れてますもんね、壁に当たったとかおっしゃってましたが、壁は大丈夫だったんですかね」と。
ワタシ「大丈夫なはずはないと思いますが、壁の方もいろんな薄い傷がいっぱいついていて、ワタシらが見ただけではどれがどの傷かまではわかりません、、、」

さて、相談室にて

婦警さんが、今車を見せていただきました、かなり傷ついてましたね、ご家族が心配されてますよ。

父「車の傷は大したことはない。ぼくは長い間ずっと安全運転をしてきた。
  無事故・無違反でやってきた。車間距離を開け、法定速度を守り、止まれではちゃんと止まる。人にも気をつけている。
  これからももうちょっと運転は続けたいと思っている」と。

ちょっと待ってください、『無事故・無違反』と言われましたが、じゃこの事故の届け出はされましたか?

父「事故ではない! だからそんなもん届けていない」

いえ、これは事故です、明らかな物損事故です。
事故をしたとき、運転者は警察に事故を届け出る義務があります。
当てたまま放っておいたら『当て逃げ』と言われるかもしれません。
建物の持ち主さんから訴えられることもありえますよ。

貴方は、大小にかかわらず物損事故のその報告義務を果たしていませんね、それは『法令違反』ですよ。
決して貴方自身が考えているような『無事故・無違反』の運転者ではありません。これは明らかに事故!です。

父「大した事ではない、だれもどこも傷つけていない。だから報告もしていない」

そう思っていること自体が重大な過ちです、貴方のその意識を変えないといけません。
たとえ小さな事故でもそれが積み重なれば、いつかは大きな事故に繋がるかもしれませんよ。

ご家族は、車を運転できなくなってもフォローはすると言ってくれてるし、いつでも協力すると言ってくれてますよ。

今回は、たまたま物損でしたが、これがもし公道でしかも人間相手だったら、この車の状況ならかなりの事故になっていますよ。
そうなった時、被害者の方も大変な思いをするし、貴方自身そしてご家族も苦しむことになります。
そこのところをわかってくださいね。

父「ぼくは絶対事故は起こさない、いつも安全運転をしているから大丈夫、まだまだ運転は続ける」

あのね、〇〇さん、ご家族はお父さんのことをすごく心配してらっしゃいますよ。

思わず、ワタシ「この車の傷を見て、だれが安全運転やと思うの? 自分は安全運転やと思ってるけど、ワタシらから見たら危なっかしくて仕方がないんや!
いつどこで人様に当たるかもわからない状況がいっぱいある、高齢になって状況判断も衰えている、誰が見てもハッキリわかる。自己満足の運転はやめてほしい」と訴える…

ご家族の言う通りですよ、お父さん一人の問題では済まなくなってきます。
安全運転とおっしゃいますが、『流れに乗って運転すること』もとても大事なことです。
ご高齢になってからの自己判断の運転は本当に危険ですよ、アクセルやブレーキの踏み間違いの事故が多いのも高齢者です。
(警察の方、もう一人増え、二人での協力戦線になってきました)
最近もありましたね、アクセルとブレーキを踏み間違えてしまったために線路に落ちて、電車を止めてしまった事故!
本人はそんなつもりでなくても、ヒヤリハットの事故はいっぱいあるんですよ。

身分証明としての免許証にこだわるのであれば、『運転経歴証明書』というものを発行できる制度もあります。
今までの〇〇さんが『無事故・無違反』で運転してきましたよ、という証明ができます。

父「そんなものはいらん。ぼくは、まだ車に乗りたいねん! 後は、家に帰って家族と話し合う」と、ついに返納しますとは絶対言わず、、、

ワタシ「今更何を話し合うねん、送迎くらいお手のもんや、いつでも協力するやん、と言うてるのに…なんでわかってくれへんの」
そんな申し入れも、周りの心配の声も、彼の心には届かない。(まぁ、意固地になってるとしか思えないのはワタシだけでしょうか)

何をだれがどう言っても、聞く耳を持ちません、もうこの年では「意識改革」は無理なんでしょうかね??

相談室を出る時、お世話になった警察の方々にワタシが伝えたこと、

「車のキーを取り上げます!」

(彼らも、ワタシ達家族の思いは充分に理解してくれているので)
「今の段階ではそれが一番いい方法だと思いますよ、お父さんの命と安全を守るためにも~~」


でも まだ、つづく





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それでも、乗りたいねん! その2

2018-11-07 12:39:24 | つれづれ思うまま
父の車を止めるスペースとして、他所様の駐車場を借りています。
その駐車場には10数台の車が、ほぼ満車状態で止まっています。
横には、倉庫と思わしき建物が建っており、そこを通って決められたスペースに止めます。

父が本格的に車に乗るようになったのは、定年後です。
今88歳の父ですから、かれこれ30数年。
その時からず~~っと借りている駐車場、慣れたもん、、、のはず。
車も、普通車から軽自動車に替えて、快適に利用してた、、、はず。
最近では、長距離は運転しない、近くのスーパーかホームセンターくらいしか行かないらしい。

「ぼくは、安全に気を使って運転している、ずっと無事故無違反!やし。
法定速度を守って、車間距離を開けて、後ろの車が近づいてきたら、ブレーキを踏んで警告する。
子どもにももちろん万全の態勢で気をつけている、、、、、」らしい。

何かの折に、運転のことで話題が出るたびに口癖のように語る彼独特の運転感です。
確かに、気をつけているように聞こえますが、傍で見ているものはやはり年の衰えを感じています。
(ゆ~っくりゆっくり走っていて、ブツブツ文句を言いながら運転しているその姿は、決して安全とは思えない)
彼を取り巻く家族たちの心配な思いをトクトクと説いてみても「聞く耳持たず」です。


そんなこんなでかなり頑なになっている彼の心をどうやってほぐしていくのか!?
それが重要な家族プロジェクトになっています。

前置きが長くなってしまったけれど、先ずは彼に「現実を見てほしい」との思いから、
駐車場にある彼の車の写真を激写したわけ、、、

 あぁ、これが現実!

母は、(2・3日前に見た時に)この車の様子をみて「どうしてこんな傷がついたの?」と(当然)聞きます。
父「いやぁ、覚えていない、大したことではない、ちょっとは当たったかもしれないが、壁にはどこも傷はついていない」と主張したらしい…

この会話の内容を昨日の電話で聞いていたので、
実家に着いた時、念のためにもう一度「免許証とカード類」を捜しに行こう!と誘いました。

そして、駐車場に着いて、「この車のこの傷はどうしたん? どこでつけた傷なん?」
父 「さぁ? どこにキズがついてるんや?」
ワタシ「フロントバンパーが外れてるよ、ちゃんと見て」
父 「当たったかもしれんけど、どこにも傷はつけていない」と言い張る。

こんな会話では埒が明きません。
まぁ、いい、この件はちょっと置いといて、免許証を捜そう!

後部荷物入れやら、後部座席を調べてもない、
助手席が一番怪しいと睨んだワタシ、何かのシートを避けたらその下から現れた黒いカード入れ。
「これは、何なの?」「えぇ~、なんでこんなとこにあるんや?」というこの顛末、、、

出てきた物はそれはそれで有難い、交番に出した「遺失物届」は取り下げれば良い。
しかし、カード失効手続きを済ましてしまったワタシは、正直格好悪くて金融機関には行けません(怒)。


それより、出てきた「免許証は一体使えるのか、使えないのか」そこが問題になってきます。
「失効手続き」されていたら、再発行してもらわなあかんし、そのためには「警察署」へ行くのか、「運転免許センター」に行くのか?
滅多にあることではないので、よくわかりません。

前もって訪ねた “交番” で聞いてきたことは、
「出てこなかったら再発行してもらいますか? この際、“運転経歴証明書” を発行してもらうという方法もありますよ、
ご高齢ですから、ぼちぼち運転は危なくないですか?」とやんわり伝えてありますよ、と。

何はともあれ、警察署に「見つかりました」と伝えねばなりません。
ご迷惑かけてすみませんという気持ちと、今後どうしたらいいいのでしょう?という家族の思いも含めて、、、

さぁ、いざ行かん!

つづく



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それでも、乗りたいねん! その1

2018-11-06 23:54:34 | つれづれ思うまま
この言葉こそ、彼が「今、生きている」ということの全てなのかもしれない。

そういう気持ちであるということは、十分わかった…

それでも、家族は止めさせたい! その葛藤の一日。

5日の夜、実家から一本の電話が入る。
「免許証をなくしたらしい、交番に遺失物届を出しに行ったみたいと」母から第一声。
「車の中も探して、駐車場から家までの溝掃除もして探した、それでも出てこない」と。

わかった、とりあえず一生懸命探して出てこなかったのね、
じゃ、失ってしまった免許証は今後どうしたいの?

「そりゃ、ほしい、大事な資格やし、自分を証明できるもんやから手元にほしい」と、父。

わかった、警察署に行ってみよう、ワタシもわからないことがあるから明日一緒に行こうね…


翌6日、
今から、そちらに行くからねと電話をしたところ、
「免許証と一緒に〇〇と××のキャッシュカードも入ってたらしい」と母。

そんな大事なもんまで入ってたん?
丁度、目の前に〇〇があるから、キャッシュカードの運用停止をしてくるわ。
ついでに、××のもしてくるね。

本人さんが来てくれないとできません…とかなんとか言われたところもありましたけど、
いや本人が今すぐここに来るのは無理です、
88歳で動きが鈍くなっている本人を連れて来るのは無理やから、、、だから
ワタシがその代わりに来ているのでなんとか取引停止をしてください、と頼み込む。
本人の名前と住所はわかってますから、ということでその場で処理していただいた。
兎にも角にも、ありがたかったです。

久しぶりに、城下町の中を歩いていろんな用事を済まして、実家に向かう。
その前に、母が言っていた「最近、車がボコボコなの」という言葉を思い出して、駐車場に寄ってみた。
その父の愛車の様を見て、、、思わず証拠写真を撮ったワタシ。

つづく


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