こないだに続いて、「堀口一史座世代」が中心のオタク談義。
特撮にくわしくない友人ワカバヤシ君が、昭和の狂ったエピソードを聞いて、そのあまりのハイセンスな内容に、
「ボクをだまして、からかってるんだろ?」
すっかり疑心暗鬼に。
そりゃまあ、
「ロボットが突然、質量保存則とか無視して巨大化するのを【正義の力だ】でゴリ押しする」
なんて言われても、「え? それネタやろ?」としか思いませんわな。
では、まずは登場人物。
1.ベットウ君
後輩。戦隊ヒーロー、アニメ、マンガ、プロレスが得意ジャンル。
好きな『ウルトラマンタロウ』の怪獣はデッパラス
2.ワカバヤシ君
元関東人。オタクではなく、映画、文学、哲学などにくわしいインテリ。
好きな『ウルトラマンタロウ』の怪獣は特になし。
3.カネダ先輩
SF、ミステリ、映画、ゲームなどが専門。
好きな『ウルトラマンタロウ』の怪獣はサメクジラ
4.私
特撮、SF、ミステリ、映画あたりが専門。
好きな『ウルトラマンタロウ』の怪獣はコスモリキッド
ベットウ「というわけで、TACは《就職したくない地球防衛組織》で、結構上の方に行くんですよ」
ワカバヤシ「まあ、言いたいことはわかんなくもないけどねえ」
私「でも切断は良いから、『ウルトラマンA』見ようね!」
ベットウ「Q歯科と久里虫太郎もヨロシク!」
カネダ「ついでに、ZATも行こうか」
ベットウ「【Zariba of All Territory】を略して。ZAT。『ウルトラマンタロウ』に出てきた地球防衛チーム」
ワカバヤシ「ふーん。で、【Zariba】ってなに?」
私「ん?」
ワカバヤシ「ほら、ここまでは【Monster Attack Team】【Terrible - monster Attacking Crew】とか、チーム名の意味はわかるじゃん。英語として正しいかは知らないけど」
ベットウ「【Terrible - monster】で超獣は絶対ちがうでしょうね」
カネダ「つーか、【Terrible - monster】って、ふつうに「恐ろしい怪物」っていう一般名詞やろ」
ワカバヤシ「でもこの【Zariba】って、聞いたことないんだけど、どういう意味?」
私「あー、はいはい」
ベットウ「【Zariba】問題ですね」
ワカバヤシ「問題って、そんな大層なハナシなの?」
ベットウ「これがパッと見、意味がわからんて、特撮ファンでも思うんですよ」
ワカバヤシ「そうなんだ。よかった、ボクがバカなのかと思った」
カネダ「つーか、ワカバヤシが知らん時点で、だいぶ変な単語やってわかるよな(注・ワカバヤシ君は学生時代、とっても偏差値の高かった人なのです)」
私「で、まあ調べるわけよ。みんな」
ワカバヤシ「あ、調べるんだ」
ベットウ「そりゃまあ」
カネダ「調べるよ、そんなん。知りたいやん」
ワカバヤシ「偉いねえ。オタクの鏡だ」
私「特撮ファンは2種類に分かれる。Zaribaを辞書で調べる者と、そうでない者」
ワカバヤシ「今、名言っぽく、どうでもいいことを言った」
カネダ「調べないやつは、ぶったるんどる!」
ベットウ「ちょっと、特撮を語る資格ないっスよね」
私「フ、ド素人が」
ワカバヤシ「嗚呼、この人たちは排他的な悪いオタクだ」
ベットウ「ウェブスターに載ってないって言われてましたよね」
カネダ「だれが言うたんやろ」
私「載ってたよね、ふつうの辞書に」
ベットウ「うんうん」
私「学校で買わされた英和辞典に、載ってた記憶あるもん」
ワカバヤシ「で、どういう意味なの?」
カネダ「なんかねえ、【防護柵】みたいなもんらしい」
ワカバヤシ「なるほど。それで『全地域の防護柵』で、まあ地球とか宇宙全体を守ってると」
私「でも、その【防護柵】が変でねえ」
カネダ「なんか、アフリカで家畜を囲い込むのに使う柵かなんかで」
ワカバヤシ「なにそれ?」
私「なにそれって、なんか、そんなんやねん」
ベットウ「写真見たら、小学校の飼育小屋の柵みたいなやつなんですよ」
カネダ「全然、【地球防衛】のイメージとちやうねん」
私「あんなヘナヘナな柵、子供でも乗り越えられるわ!」
ワカバヤシ「(ウィキペディアを見て)あー、これはないねー」
Wikipediaより「zariba」の画像。こんなもんで宇宙からの侵略をどうしようと。
私「ないやろ」
ベットウ「絶対、おかしいですよ。しかもなんか、スーダンかどっかの俗語らしい」
カネダ「現地語表記だと、絶対にZじゃないよな」
私「逆に、ウェブスターに載ってないのも納得や」
ワカバヤシ「なんで、そんなことになってんの?」
カネダ「特撮ファンの予想では、そもそもZATっていう語感は決まってたけど、後付けでZを探したら、なかなか見つからずに、やむをえずっていうのが有力」
ベットウ「それ、調べたらホンマらしいですよ」
私「そうなんや」
ベットウ「満田かずほ(『ウルトラマン』「謎の恐竜基地」や『ウルトラセブン』「アンドロイド0指令」などを監督)さんが、インタビューで答えてました」
カネダ「まあ、そうやわな」
ベットウ「自然な推理ですもんねえ」
ワカバヤシ「で、その【Zariba】はどんな組織なの?」
私「ZATは別名【お遊びZAT】」
ベットウ「あるいは【脱出ZAT】」
ワカバヤシ「脱出は、TACと同じなのかな」
ベットウ「基本はそうですけど、ZATはそもそも基地自体が脱出できるからという説も」
ワカバヤシ「それ、すごいね」
カネダ「基地ごと浮かんで逃げれるっていうね」
私「MACも、そうできてたらねえ」
今にも自重で崩れ落ちそうなZAT基地。いざとなったら足を捨てて空を飛び「脱出」できる。絶対に騒音問題でもめてそうな立地。
ちなみに住所は東京都千代田区1-1-1。
ベットウ「実際、逃げたことあったかなあ」
カネダ「第1話で、なかったっけ?」
私「あったかなー」
ワカバヤシ「なんか、急に歯切れが悪いんだけど」
ベットウ「タロウは、あんま見てないから、おぼえてないところも多いんですよね」
(続く)