『パシフィック・リム』を見る。
この作品、いわゆる「怪獣映画」(作中でもちゃんと外国人が「Kaijyu」と呼称している)なのだが、もともと周囲の映画好きや怪獣ファンからも
「あれはすごい」
「評価するにしてもせんにしても、一回は見といたほうがええ」
と多大なる推薦をいただいていた。
そこまで言われれば燃える特撮野郎の身としては見ずばなるまいと、DVDで鑑賞してみたわけだが、
「とにかく、最初の20分は神がかってるで!」
と友たちもほたえるように、たしかに導入部はすばらしかった。
怪獣の造形やアクション、特撮部分の作りこみやテンポの良さ、カメラワークまで、ほぼ完璧というか、おおげさでなく
「怪獣映画の究極系」
を見せられた思いだった。
スピルバーグの『宇宙戦争』を見たときもたいがい、
「ハリウッドの怪獣映画は、ここまで来てるのか!」
感嘆したものだが、これはその上を軽く行く衝撃だった。
すげー! かっこいいー! おもしろーい!
もう絶賛の嵐。まさにスタンディング・オベーション級の映像だったのである。
いやもうなんかね、「私はこの映画を観るために生まれてきた」とか、下手すると、
「そもそも映画という文化自体が、私にこの作品を鑑賞させるために誕生したものだった。『第三の男』も『七人の侍』も『風と共に去りぬ』も、すべてその布石程度のものにしか過ぎないのだ」
なんていう、アーサー・C・クラーク的、壮大なる妄想にとらわれるほどの狂喜体験であった。
そんな「星1個から5個でいったら、星100億万個!」などと興奮しまくっていると、
「へー、そんなにおもしろいなら、ちょっと見てみようかな」
そんなことをおっしゃる方もおられるかもしれないが、まあそこは早まってはいけない。
これはあくまで、私のようなスットコ怪獣野郎だからこその星1兆光年個というわけであって、あまりそのへんのことに興味のない、それこそ映画といえばデートで行くものという人には、さほどというか、むしろ絶対におススメできません。
なんちゅうてもこの映画、怪獣バトルシーン以外は、まあホントどうでもいい映画だから。
まず、脚本がダメダメ。怪獣とメカの戦闘シーンは、とにかく燃えるのだが、それをひっぱるストーリーがサッパリ。
どこがダメなのか具体的にいうのは難しい。だって、ストーリーが「ない」から。
いにしえのギャグである「ないようがないよう」と思わずつぶやいてしまう空虚な脚本。偏差値でいえば38くらい。頭が悪いというか、スカスカ感がすごい。
特に象徴的なのは、あの最後の戦いにむかう演説。
あんな超見せ場で、あんな盛り上がらないもんなの?(苦笑)
じゃあ、アクションだけを楽しめばいいではないかといわれれば、それがそうでもなくて、今度はその戦闘シーンが濃厚すぎる。
映画『トランスフォーマー』シリーズへの提言として、
「メカがガチャガチャ動きすぎて、見ていてしんどい」
という意見がよく聞かれたけど、『リム』のほうはあの
「目が痛い」
「酔う」
「もううっとうしいから変形すな! じっとしとれ!」
と館内に罵声が飛んだ『トランスフォーマー』の20倍くらい濃い味付け。
もうステーキの上にベーコンの脂とフォアグラとラードをごってり乗せて、仕上げに、「一杯やろうぜ」と、ジョッキに日清オイリオをなみなみとついで、ドンと出された感じ。
つけあわせには、3日くらい置いた悪いオイルであげた大量のポテトとコロッケ。もう、重すぎて倒れるわ、と。
それくらいに、バトルシーンは中身がぎっしりで濃い。
いや、それ自体はすばらしくカッコイイんだけど、それをあの濃度で2時間以上やられると、もうお腹はタプタプです。
ライムスター宇多丸さんは、この映画に「ひとつ欠点がある」としたうえで、
「それは短すぎること。あと100時間分は見たい!」
と熱くおっしゃられていて、まさに「しかり!」なのだが(「とんでもなくおもしろい大河ドラマのラスト2話だけ見せられた感じ」という意見多々)、実際それをブッ通して見たら、間違いなく次の朝死体になってます(笑)。
それはきっとただの死ではなく、「殉死」とか「腹上死」というのだろうが、とにかくデカ盛り。
間違いなく、映画館出たときには、なにも食べてないのに5キロは体重増えてます。そんなん、素人さんはよう見んでしょ。
そんなわけで、怪獣ファン大興奮、一般客ポカーンな超絶人を選ぶ映画『パシフィック・リム』。
特撮マニアの友人シュクイン君によると、
「あれって、最高に金と才能と手間をかけた『ウルトラファイト』やねん」
アハハハ! そうかも。
そんな愛しかない意見がてんこ盛りの、バカでカッコよくて超サイコーな『パシフィック・リム』。クラスの男子の3人くらいには、大大大大大オススメですわ!
☆おまけ 日本へのリスペクトが過ぎる怪獣バトルシーンは→こちら
この作品、いわゆる「怪獣映画」(作中でもちゃんと外国人が「Kaijyu」と呼称している)なのだが、もともと周囲の映画好きや怪獣ファンからも
「あれはすごい」
「評価するにしてもせんにしても、一回は見といたほうがええ」
と多大なる推薦をいただいていた。
そこまで言われれば燃える特撮野郎の身としては見ずばなるまいと、DVDで鑑賞してみたわけだが、
「とにかく、最初の20分は神がかってるで!」
と友たちもほたえるように、たしかに導入部はすばらしかった。
怪獣の造形やアクション、特撮部分の作りこみやテンポの良さ、カメラワークまで、ほぼ完璧というか、おおげさでなく
「怪獣映画の究極系」
を見せられた思いだった。
スピルバーグの『宇宙戦争』を見たときもたいがい、
「ハリウッドの怪獣映画は、ここまで来てるのか!」
感嘆したものだが、これはその上を軽く行く衝撃だった。
すげー! かっこいいー! おもしろーい!
もう絶賛の嵐。まさにスタンディング・オベーション級の映像だったのである。
いやもうなんかね、「私はこの映画を観るために生まれてきた」とか、下手すると、
「そもそも映画という文化自体が、私にこの作品を鑑賞させるために誕生したものだった。『第三の男』も『七人の侍』も『風と共に去りぬ』も、すべてその布石程度のものにしか過ぎないのだ」
なんていう、アーサー・C・クラーク的、壮大なる妄想にとらわれるほどの狂喜体験であった。
そんな「星1個から5個でいったら、星100億万個!」などと興奮しまくっていると、
「へー、そんなにおもしろいなら、ちょっと見てみようかな」
そんなことをおっしゃる方もおられるかもしれないが、まあそこは早まってはいけない。
これはあくまで、私のようなスットコ怪獣野郎だからこその星1兆光年個というわけであって、あまりそのへんのことに興味のない、それこそ映画といえばデートで行くものという人には、さほどというか、むしろ絶対におススメできません。
なんちゅうてもこの映画、怪獣バトルシーン以外は、まあホントどうでもいい映画だから。
まず、脚本がダメダメ。怪獣とメカの戦闘シーンは、とにかく燃えるのだが、それをひっぱるストーリーがサッパリ。
どこがダメなのか具体的にいうのは難しい。だって、ストーリーが「ない」から。
いにしえのギャグである「ないようがないよう」と思わずつぶやいてしまう空虚な脚本。偏差値でいえば38くらい。頭が悪いというか、スカスカ感がすごい。
特に象徴的なのは、あの最後の戦いにむかう演説。
あんな超見せ場で、あんな盛り上がらないもんなの?(苦笑)
じゃあ、アクションだけを楽しめばいいではないかといわれれば、それがそうでもなくて、今度はその戦闘シーンが濃厚すぎる。
映画『トランスフォーマー』シリーズへの提言として、
「メカがガチャガチャ動きすぎて、見ていてしんどい」
という意見がよく聞かれたけど、『リム』のほうはあの
「目が痛い」
「酔う」
「もううっとうしいから変形すな! じっとしとれ!」
と館内に罵声が飛んだ『トランスフォーマー』の20倍くらい濃い味付け。
もうステーキの上にベーコンの脂とフォアグラとラードをごってり乗せて、仕上げに、「一杯やろうぜ」と、ジョッキに日清オイリオをなみなみとついで、ドンと出された感じ。
つけあわせには、3日くらい置いた悪いオイルであげた大量のポテトとコロッケ。もう、重すぎて倒れるわ、と。
それくらいに、バトルシーンは中身がぎっしりで濃い。
いや、それ自体はすばらしくカッコイイんだけど、それをあの濃度で2時間以上やられると、もうお腹はタプタプです。
ライムスター宇多丸さんは、この映画に「ひとつ欠点がある」としたうえで、
「それは短すぎること。あと100時間分は見たい!」
と熱くおっしゃられていて、まさに「しかり!」なのだが(「とんでもなくおもしろい大河ドラマのラスト2話だけ見せられた感じ」という意見多々)、実際それをブッ通して見たら、間違いなく次の朝死体になってます(笑)。
それはきっとただの死ではなく、「殉死」とか「腹上死」というのだろうが、とにかくデカ盛り。
間違いなく、映画館出たときには、なにも食べてないのに5キロは体重増えてます。そんなん、素人さんはよう見んでしょ。
そんなわけで、怪獣ファン大興奮、一般客ポカーンな超絶人を選ぶ映画『パシフィック・リム』。
特撮マニアの友人シュクイン君によると、
「あれって、最高に金と才能と手間をかけた『ウルトラファイト』やねん」
アハハハ! そうかも。
そんな愛しかない意見がてんこ盛りの、バカでカッコよくて超サイコーな『パシフィック・リム』。クラスの男子の3人くらいには、大大大大大オススメですわ!
☆おまけ 日本へのリスペクトが過ぎる怪獣バトルシーンは→こちら