「【天才感】を出して切り抜けろ!」
少し前当ページで、こういう提言をした(→その詳細はこちら)。
昔、友人キシベ君からから受けた、
「そんなに親しい人がいない飲み会やパーティーで、手持無沙汰になり、黙りこんでしまう」
という相談に、
「【天才感】を演出すれば、《そういう人なんだ》と放っておいてもらえるぞ」
そうアドバイスした私。
これはダウンタウンの松本人志さんや、南海キャンディーズの山里亮太さんも実践した演出術で、ハッタリを駆使して、
「ヤツは一味違うぞ」
そう思われれば、多少の無愛想や奇行には、目をつぶってもらえるのだ。たぶん。
それには関心半分、あきれる半分で納得してくれた友だが、彼が言うには、
「でも、天才のフリせえ言うたかて、だれを見本にしてええか、わからんよねえ」
たしかに。
勉強やスポーツなんかは、身近にいる上級者のマネもできるけど、ふつうはなかなか「天才」に会えへんもんなあ。
なんて頭をかいていたのだが、そこから長き年月が経ち、たまたま、その模範解答が見つかった。
将棋のプロ棋士、伊藤匠四段
これが正解です。
伊藤匠。
昨年度、三段リーグを抜けてデビューを果たした若手棋士。
今をときめく藤井聡太二冠と同学年で、奨励会時代から将来を嘱望された、現役の最年少棋士。
先日、アべマトーナメントとNHK杯戦で、大舞台に初お目見えとなり、将棋の内容や、その独特の雰囲気で、大いに話題を呼んだスター候補生なのだ。
これがねえ、メチャクチャ雰囲気が出ている。
あの髪型、風貌、声、立ち振る舞い。すべてが、
「これで、天才でなきゃおかしいね」
白衣でも着せれば医者の卵。
紙と鉛筆を持たせれば、数学科の優秀な学生みたいだし、絵描きやピアニストとしても通じそう。
作家でいえば、森見登美彦さんなんかも、ヌボーっとしているように見えて、独特の「実はすごい」感があるが、それにも近いかも。
庵野秀明カントクとか、テニスのダスティン・ブラウンとか、お笑いからは空気階段の水川かたまりさん、とか。
そういや見た目、東京03の豊本さんに似てるなあ。
なんて話を、こないだ将棋ファンの友人としていると。
「わかるよ。シャロン君が好きそうな感じやもん」
あ、そう? なんで、わかるの?
「だって、伊藤君って、なんか《名探偵》っぽいやん」
あーそこかあ。
なるほど、私はミスヲタだから、伊藤四段からそこはかとなく感じる「名探偵」感に惹かれるんだ。
そう言われると、妙に納得してしまった。
金田一耕助役とか、やってくれへんやろか。
もうちょっとキザならエラリー・クイーンとか。オーギュスト・デュパンでもいいなあ。
なんにしろ、伊藤四段の「天才感」は、パーティーなどで手持ち無沙汰になるわれわれには、大いに参考にしたいところ。
もちろん、彼は「本物の天才」だから、中身などマネできるはずもないが、そこはハッタリでカバーするのだ。
街のオシャレさんといえば、「ジョニー・デップ率」が異様に高かったりするが、われわれはこっちだな。
あと、伊藤四段が活躍して話題を呼んだアべマトーナメントだが、そこにもうひとりの【正解】もいた。
それこそが、船江恒平六段。
船江六段は明るいキャラクターで、楽しい関西弁を駆使し、どちらかといえばクールな稲葉陽八段や、久保利明九段を盛り上げる役割だった。
どっこい、その一見して「三枚目」なキャラはフェイクであり、一皮むけば必殺の急戦矢倉で、敵のスーパーエースである藤井聡太二冠を破るという大殊勲。
『第三の男』が、実は一番危険な刺客だった。
なんてカッコええんや!
マンガでも、よくあるでしょう。ひょうひょうとした、ゆかいなオジサンが、実はスゴ腕の使い手だった、みたいな。
寒山拾得か! カンフー映画の「老師」とか、あこがれだよねえ。
ただ、ひとつこの場合問題は、
「結果を出さないといけない」
というハードルがあること。
それも「藤井聡太を倒す」という、とんでもない高さのそれだ。
さすがに、そこは素人には無理なわけで、その意味では恒平も、まだまだわかってないな、というところであろうか(←どういう視点の意見なのか)。
とまあ、長々と書いてきたが、なにが言いたいのかと問うならば、パーティーなどで気まずくなる人は、
「名探偵のような、雰囲気とハッタリでカバーしろ」
それともうひとつ、伊藤四段はきっと藤井聡太二冠に負けないスターになるから、みんな、アべマトーナメント見ようぜ!
藤井聡太や伊藤匠だけではない、今大会も、まだまだ魅力的な若手棋士が爆発してくれるはずだから、もう断然目が離せないわけで、楽しみはつきない。
だからオレ、団体戦はおもしろいって、昔からゆーてたやん!