電子書籍、夏のセールで買い倒れ日記 その2

2021年08月01日 | 

 前回(→こちら)に続いて、電子書籍セール獲物自慢。

 河出書房の次は、中央公論社

 ざっと見てたら、なぜか小島剛一先生の『トルコのもう一つの顔』が爆売れ中。

 なんじゃらほいと調べてみたら、なんか、今すっかり売れっ子な、ひろゆきさんと論争してたらしい。

 私はケンカが苦手なので、この手のやりとりはスルーすることが多いが、これによって知る人ぞ知る名著が、たくさんの人に読まれるのは、うれしいかぎり。

 『トルコの』はトルコ語や、トルコにおける、少数民族の言語学的フィールドワークを題材にしたノンフィクション。

 瀬野反人ヘテロゲニア リンギスティコ』とか、あのノリのオモシロ本なので、買って損なし。

 あと、『旅行人』から出ている続編もそうだけど、「冒険小説」としても傑作なので、ぜひ一読を(内容については→こちら)。

 では、今回の自慢リストに行きましょう。

 


 ☆池内紀出ふるさと記

 

 ドイツ文学者である池内先生と言えば、

 

 フリードリヒ・フーケー『水妖記』

 ショーペンハウエル『読書について』

 E・T・ホフマン『黄金の壺』

 ハインリヒ・ハイネ『精霊物語』

 

 らとともに、私をドイツ文学科に進学させた戦犯……精神的恩人。

 出ている本はマストバイなので、『ドイツ街から街へ』『ひとり旅は楽し』『悪魔の話』『日本風景論』など、全部買う。

 『モーツァルトの息子』『遊園地の木馬』『ぼくのドイツ文学講義』あたりも電書にならんかな。

 

 


野崎昭弘詭弁論理学

 

 「世界は詭弁で動いている」


 と言いたくなるくらい、世の中にはアヤシゲな理屈がまかり通っている。

 王貞治さんの、

 

 「努力はかならず報われる。報われない努力は、それはまだ努力と呼べないのではないか」

 

 なんか、その典型。

 悪気はないんだろうけど、メチャクチャずるい理屈だよね、これって。

 将棋順位戦が、あまりに風通しが悪いという話になると、

 

 「結局は、自分が勝てばいい」

 

 とか言う人とか。

 いや、それどっちも、論点ずらしてるだけだから。

 専門誌である『将棋世界』に、堂々とこの意見が載っていたときには、心底ガッカリきたもの。てか、マジできたなあ。

 こういう、「欺瞞」「詭弁」を、いかにも「ドーダ」「オレ、今いいこと言った!」なノリでカマすのって、どうなのよ?

 こういうのに「ん?」と思えるよう、この本を読んでおくのが、よいでしょう。

 でも、世の中には「詭弁」を「論理的」と思っている人も多く、そういう人が上に立っていたりするから(「結果を出してから言え」とかいう人ですね)、ホント問題だ。

 


 


 ☆本村凌二馬の世界史

 

 ローマ帝国関係の本が、おもしろかったので購入。

 をフックに世界史を語る、という切り口が、すこぶる興味深い。

 


 ☆ジェロームジェロームボートの三人男

 

 コニー・ウィリス犬は勘定に入れません』の影響で。

 ちなみにコニー・ウィリスも、こないだのハヤカワセールで一通りそろえた。

 分厚い本は、電子書籍が圧倒的に便利だけど、果たして読むんだろうか。

 ハンヌライアニエミのフィンランドSF『量子怪盗』とか、買ってるけど、全然手が出る様子がないぞ。大丈夫か、自分?

 

 

 


 ☆宇月原晴明安徳天皇漂海記 

 

 日本の歴史ものは、戦国とか幕末とか苦手だけど、中世ものは好きかも。

 文体が格調高く、とにかく雰囲気が出ている。

 あまり歴史的に、描かれることのない、「文化系」将軍の源実朝をフィーチャーしてくれてるのも良い。

 

 


 ☆藤沢道郎物語 イタリアの歴史』『物語 イタリアの歴史Ⅱ

 

 中公新書「物語」シリーズ随一の名著。絶対、手元に置いておきたい2冊。

 あとは塩野七生海の都の物語』と、モンタネッリローマの歴史』『ルネッサンスの歴史』が、私のイタリア知識のベース。

 

 


 ☆鹿島茂パリの日本人』『パリの異邦人

 

 読みやすく、エスプリな気分も味わえて、フランス文化の勉強にもなる鹿島先生の本は、だれにでもすすめられる高品質。

 どれもおもしろいけど、最高なのは『パリ世紀末パノラマ館エッフェル塔からチョコレートまで』で紹介された、シャルルフーリエ先生の思想。

 

 「男女32人でリズムを合わせて、オーケストラのようなセックスをしよう!」

 

 とか、超知的なエロ妄想が、ぶっ飛んでます(その詳細は→こちら)。

 元気だなあ、あやかりたいもんだ。

 あと、先月は月替わりセールも充実していて、

 

 イブン・ジュバイル『イブンジュバイルの旅行記

 プラノ・カルピニ&ルブルック『中央アジア蒙古旅行記

 

 とかも買っちゃったよ。旅行記だと、なんでも買っちゃうなあ。

 充実した買い物だったけど、財布はすっからかん。

 しばらくは、をなめて暮らすことになるが、いっぱい本が買えたから、私は幸せなのだ。
 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 下段の香に力あり 羽生善治v... | トップ | 定跡の知識や詰将棋なしで、... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。