7月は本を、たくさん買った。
この時期は、夏休みということで、各種ネット書店において、3割引きだのポイント還元など、うれしいイベントが盛りだくさん。
しかも今年は、ハヤカワと河出書房が参戦という、たまらない情報が。
どちらも、海外ものが充実したところで、ミステリやSF、欧米に南米など外国の小説。
という、なかなか古本屋でも、値段の下がらないジャンルの作品が目白押しとなっては、もう気合も入ろうというもの。
私はこの電書ゲット計画を「グーテンベルク作戦」と命名し、あっちでワンクリック、こっちでポチリと、大いに散財したのだった。
ということで、今回はこの夏に大人マネーで買い散らかした、電子書籍のラインアップをご紹介したい。
要するに、女子のバーゲン戦利品か、子供のおもちゃ買ってもらった自慢のようなもの。
そんなもん、知らんがなという、読書に興味のない方もおられるだろうが、そこは自転車にでも轢かれたと思って、あきらめるのが吉であろう。
まずは河出書房から、ミシェル・ウエルベックの『プラットフォーム』『ある島の可能性』。
『服従』が、かなりおもしろくて、ぜひ他のも読みたかったんだけど、高いうえに古本でも価格が落ちないので、しばし様子見をしていたところ。
いい機会なので、まとめて購入。重量級なので、お盆にでも、じっくり読もう。
☆パトリシア・ハイスミス。『太陽がいっぱい』『キャロル』。
ミスヲタにもかかわらず、ハイスミスは未読のまま。
まあ、イヤミスが苦手ってのもあるけど、なかなか手に入りにくかったイメージもある。まとめてゲット。
映画版とくらべるのが、今から楽しみ。
☆ウンベルト・エーコ。『ウンベルト・エーコの文体練習』
パロディ部分はわからないところが多いが、「フランティ礼賛」のため購入。
デ・アミーチスの『クオレ』はマジで欺瞞に満ちた、気持ち悪い話なんだよなあ。
主人公エンリーコの親父が、信じられないくらいヤバいヤツ。
なんたって、子供が寝ている間に日記を読んで、そこにあれこれ説教や訓話を書きつけるという異常ぶり。
しかも、その内容が俗物丸出しなのを、エンリーコも素直に受け入れて、作者はそれを「よきこと」と思っているわけだ。
ふつうだったら、バットで頭カチ割ってるよ。私が陪審員なら、秒速で無罪だね。
☆チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『なにかが首のまわりに』
ナイジェリア文学というのが惹かれる上に、河出書房のホームページで短編まるまる一本試し読みできたので、読んでみた。
かなりいい出来で、即ゲット決定。
マイノリティ文学についてまとめた、いい本があれば読みたいな。
☆イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』
カルヴィーノはちょっと苦手で、結構挫折してるんだけど、ここでリベンジと。
作風的には、絶対好きなはずなのに、なんでだろ。
☆マリオ・バルガス=リョサ『楽園への道』
バルガス=リョサは一時期よく読んだので、即ゲット。
好きなのは『チボの饗宴』、中編の『小犬たち』。
南米ではコルタサル、プイグ、バルガス=リョサは好き。
ガルシア=マルケスはノンフィクションの方がおもしろく感じる(ただし『百年の孤独』は別格)。ボルヘスは苦手。
☆猿谷要『生活の世界歴史9 北米大陸に生きる』
『物語アメリカの歴史』『ニューヨーク』『アトランタ』『ミシシッピ川紀行』などなど、猿谷要にハズレなし!
永井良和・橋爪紳也『南海ホークスがあったころ』
子供のころ、ギリ大阪球場残ってたけど、行ったことないんだよなあ。
今思えば、難波のド真ん中っていう、スゴイ場所にあったけど、世代的には宮部みゆきさんの『火車』に出てきた住宅展示場。
☆スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』
ミルハウザーも、なかなか古本で見つからないから(あっても高い)、ありがたい。
☆アントン・チェーホフ『馬のような名字 チェーホフ傑作選』
ちょうど今、沼野充義先生の『チェーホフ 七分の絶望と三分の希望』(超おもしろい)を読み返しているところなので。
でも、チェーホフもまた、学生時代読んだけど、ちっとも刺さらなかった。
プーシキンとドストエフスキーはおもしろい。トルストイはダメ。
昔、読んだ『イワンの馬鹿』が
「本当にイワンがバカなだけだった」
という内容にコケそうになった記憶がある。
こういう、インテリが勝手に「聖なる愚者」を神格化して「癒やされる」のって、エゴくないッスか?
他人に都合のいいキャラを勝手に投影して、利用しやがって。そういうのって、ヘタすると優越感の裏返しだし。
傲慢なブルジョアめ! どんな甘えん坊なんだ、オマエは!
☆トニー・ペロテット『古代オリンピック 全裸の祭典』
藤村シシンさんによる『アサシン クリード』解説の影響から。
あのトークと、ゲーム画面見たら、そらみんな古代ギリシャに行ってみたくなりますわ。
☆エレナ・ポーター『リンバロストの乙女』
昔、村岡花子訳の少女小説を、山ほど読んだ時期があったので、なつかしくて。
『赤毛のアン』に『丘の家のジェーン』とか『少女パレアナ』『スウ姉さん』。
『アン』は2以降、全然おぼえてないけど、主婦になったアンが、一日ひたすらイライラしている短編が、おもしろかった記憶が。
たしか氷室冴子さんも、ほめてたはず。『プレイバックへようこそ』ってエッセイ集で、この手の本をくわしく取り上げてました。
バロネス・オルツィ『べにはこべ』とセットで、この夏は乙女エンジン全開。
☆マイクル・コーニイ『ハローサマー・グッドバイ』『パラークシの記憶』
ミスヲタなので、最後の展開には「おー!」と大満足。
ただ、この手の日本人受けする甘酸っぱいSFは、ちょっと苦手だったりする。
代表作とも言える、『たったひとつの冴えたやりかた』は好きなんだけどね。
などなどだけど、まだまだ欲しい本はいくらでもあって、いやん、まいっちんぐなのである。
お金もさることながら、選ぶのに、すんごい時間を取られるのだよなあ。
(続く→こちら)