マイナー趣味に興味を持つのは将棋ファンだから

2023年08月06日 | オタク・サブカル

 変わった趣味の人を見ると話を聞きたくなるのは、自分が将棋ファンだからだろう。

 趣味というのは人さまざまで、「スポーツ観戦」とか「オシャレ」とか「ゲーム」「食べ歩き」などは一般に市民権を得ていて、どうということもない。

 ちょっと変わって「バードウォッチング」「プラモ作り」「コスプレ」「インド映画」とかでも、多少マニアックとはいえ普通に許容範囲であろう。

 だがこれが

 

 エントロピーの研究」

 「自作パソコンの電源スイッチを愛でる

 「内臓手術の動画鑑賞」

 「アイドルのライブに行ってアイドルでなく、そのファン生態だけ楽しむ」

 

 などと聞くと、さすがに「なんで?」の声が抑えられない。

 ちなみに、上記の「なんで?」は実際に私の友人が趣味でやっていることだが、大学の最初の授業で声をかけてのやりとりが、

 

 「なんか趣味とかある?」

 「エントロピーについて考察することかな」

 

 というものだったのは今でも記憶に新しく、まったくシビれるような我が青春である。悔いだらけかもしれない。

 そんな「なんで?」な趣味になぜ引っかかるかといえば、それは自分の趣味に「テニス」「旅行」といった分かりやすいもの以外で「将棋」というのがあるからだろう。

 将棋というのは、藤井聡太七冠のおかげで今でこそブームになっているが、基本的には地味なものである。

 私自身、そのことでバカにされたり、イジられたりしたことはないというか、そもそも「イジるほどの関心すら払われないほどだったが、それでもいつも不思議に思ったものだ。

 

 「将棋って、こんなにおもしろくて奥が深いのに、なかなか興味持ってくれへんなー」

 

 好きな人ならわかっていただけるだろう、将棋はメチャクチャにおもしろいゲームである。

 自分が指すのはもちろんのこと、プロ棋士の見せる序盤戦術の進化や中盤での大局観終盤で詰むや詰まざるやのドキドキや、ドラマチックな逆転劇(王座戦の挑決は激おもしろかったネ!)。

 それ以外にも江戸時代から続く歴史や、個性的な棋士のエピソード。棋士は文章のうまい人も多いから本もおもしろいし、詰将棋のクリエイティビティなども震えるような感動を味わうこともある。

 ということはだ、もまたなりではないか。

 世の中には、結構変わった趣味の持ち主というのがいる。

 「石拾い」とか「空き缶集め」とか「果物のタネ飛ばし」なんていう、私でも正直「なんで?」な人というのが。

 でもそれを、そこで斬り捨ててしまうのが、少々はばかられるのだ。

 私は「将棋奥深さ」を知っている将棋ファンだ。

 だから、たまたまみんな知らなかったり「地味」という偏見があるせいで、それを知ってくれれば、今まで将棋に感心がなかった人の何パーセントかは理解してくれるという自信がある。

 だとしたら、他の趣味もそうではないか。

 私は鉄道に興味はないが、この世界は多少メジャーなこともあって情報も多い。

 そういったを読んだりを聞いたりしていると、自分はそうでもなくても、

 「これにハマる人はおるやろな」

 ということは理解できる。

 それと同じで、それがたとえ「ゴミあさり」や「めぐり」だったとしても、こちらがそれを理解できないのは「くだらないから」「地味だから」ではなく、

 

 「単にこちらに感心がなく、そのジャンルを楽しむ知性にとぼしいから」

 

 という解釈だってなりたつわけであるというか、実際そうだと思うのだ。

 もちろん、話を聞いてもチンプンカンプンなこともあるが、

 

 「わかんねー」

 「なにが、おもろいねん」

 

 と捨ててしまいがちなところから、思わぬ「知性」が得られるチャンスがあるのだから、これを逃すのも、もったいない気もするのだ。

 実際、村崎百郎さんのゴミ漁りの話なんか、結構マジにすごいというか、その深度に感動しちゃうんで、よかったら著作を読んでみてください。

 

 (続く

 

 ★おまけ

 (大槻ケンヂさんが解説する「パイプマニア」がおもしろい)

 (オーケンによるマニアックな性の目覚めはこちらからどうぞ)

 

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