Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

α18A「マリとシェリー」朝倉響子, 1990.

2023-01-21 | Exhibition Reviews
 どちらかと言えば、向き合う二人が抱える何らかのわだかまりを解こうとしているような印象。

 「マリ」はフランス語で夫や主人を意味し、「シェリー」は性別を問わず愛おしい人を意味するそうです。

 ポケットに手を入れた「マリ」はどことなく苛立ちを覚えつつ、手をこまねいた「シェリー」はそれとなく、その苛立ちから抜け出させるように悟しているようにも感じます。

 ひょっとしたら、そんな二人の姿はあるべき自分を追い求めようとする〈わたし〉とありのままの〈わたし〉との対話なのかもしれません。

初稿 2023/01/21
校正 2024/01/05
写真「マリとシェリー」朝倉響子, 1990.
撮影 2022/12/11(東京・池袋)