Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

α43F「晨」朝倉響子, 1982.

2023-09-24 | Exhibition Reviews
 朝倉響子の作品には、漢字一文字の同じ名でありながらも、違うデザインのものが幾つかあります。「晨」もその一つで読み方は"あした"、意味は"夜明けを告げる"ということだそうです。

 "夜明け"は自然が創りだす世界ですが、"夜明けを告げる"のは、陽の光を浴びてまだ見ぬ"あした"に向かってありのままの姿で立ちあがろうとする〈わたし〉が創りだす世界もあると思います。

 ところで、自然が創りだす世界は宇宙を創りだした大いなる力が無限のありようをもたらすのと同じように、〈わたし〉が創りだす世界もまた膨大な言葉によって無限の意味をもたらすことに気づきます。

 とある災害医療センターの玄関にありのままの姿で立ちあがろうとする少女の像は、ひょっとしたら、観る〈わたし〉にとって無限の大いなる力の存在を物語っているような気がします。

「君にも無限の可能性があるんだよ。君はそう信じようとしているかもしれないが、それは正しくない。君はその事実に気づかなければならない。そう信じるのではなく、それに気づくんだ」※

初稿 2023/09/24
写真 「晨」朝倉響子, 1982.
撮影 2023/02/18(東京・都立広尾病院)
注釈 ※)「賢者の書」喜多川泰, 2009.(p.66)


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