Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

α42F「晨」朝倉響子, 1974.

2023-09-15 | Exhibition Reviews
 朝倉響子の作品には漢字一文字の名を冠する作品も幾つかあります。「晨」もその一つで読み方は"あした"、意味は"夜明けを告げる"ということだそうです。

 "夜明け"は自然が創りだす世界ですが、"夜明けを告げる"のは、陽の光を浴びてまだ見ぬ"あした"に顔を向けようとする〈わたし〉が創りだす世界だと思います。

 ところで、まだ見ぬ"あした"に顔を向けようとしない〈わたし〉が創りだしてしまう世界もあると思います。それは誰もが人知れず抱く不安であるかもしれず、その慎重さゆえに結果を恐れているような気がします。

 ひょっとしたら、あらゆる言葉はあらかじめそれぞれにさまざまな意味をもち、その言葉を自ずから分けている存在が〈わたし〉なのかもしれません。

「あなたの言葉を一番聞いているのはあなた自身なの。そしてあなたは誰の言葉よりも自分自身の言葉に強い影響を受けて人生をつくっているの」※

初稿 2023/09/15
写真 「晨」朝倉響子, 1974.
撮影 2023/02/18(東京・サンパール荒川)
注釈 ※)「賢者の書」喜多川泰, 2009.(p.173)


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