日曜日の昼下がり。馴染みのバイクショップへオイル交換をしに出かける。昔は、ガチャガチャと工具を使って、バイクの下に手を突っ込んで真っ黒なオイルにまみれながら自分でやったものだが、今は面倒だし、廃オイルの処理が大変だから、お店でやってもらう。楽ちんだ。
バイクショップで働く友人に、「きれいに乗ってるねぇ」と褒められて上機嫌。「きれいに乗ってますよ」、宝物ですから。オイル交換のついでに、クラッチの調整と、アイドリングの回転数を上げてもらって、整備も終了。
で、帰り道。心なしか調子良くなったバイクを走らせる至福の時間。夕暮れ間近の田舎道、風を切って走る。走る。走る。適当に走っているので、知らない道も通る。なんとなく家の方面を目指して走っていれば、そのうち知っている道に出て、家に着いてしまうものなのだ。
街外れのお気に入りのホットドッグショップは実在する。
ぐるぐると走り回った結果、たどり着く見慣れた国道。そこにある小さなホットドッグショップ。お腹はあんまり減っていなかったが、ちょっと寄ってみることにした。掘っ建て小屋のたたずまい。手作りの看板。お客はいない。
バイクを停めて、「こんにちは」とおばちゃんに挨拶すると、「あら、久しぶりじゃない?」とおばちゃん。5年以上来てないのに(最後にいつ来たのかは昔過ぎて忘れた)、覚えてるもんなんだなぁと感心しながら、おばちゃんと世間話。メニューを見ると、ちょっと変わってたので、「いつものやつないの?」と聞くと「これね」と30センチのソーセージとキャベツの酢漬け(ザワークラフト)が乗ったやつを指差す。途方も無く久しぶりに来て「いつもの」と言ってしまう図々しさも無いけど、「これね」もないよなぁと想いながら、「それそれ」と答えて注文。そしてまた世間話。「どうなの最近は?」とおばちゃんが聞いてくる。何を知ってるって訳でもないのに「どうなの最近は?」って質問は素敵だ。「ぎりぎり生きてるって感じだな」と答えると、「じゃぁ、わたしと一緒だわ」と笑って応える。
そうこうしてる間にホットドッグが出来上がる。「持って帰る?食べてく?」とおばちゃんが聞く。「そこで食べてく」と僕は答える。お店はホットドッグスタンドの様相で、その横にパラソルとイスがちょこんと2セット置いてある。僕はそこで出来立てのホットドッグを食べるのが好きだ。
日曜日の昼下がり。アンジュイックの丘を口ずさみながら、ホットドッグを頬張る。それにしても・・・でかい。あんまりお腹が減ってない時に来てしまったことを、ちょっと後悔。国道を通り過ぎていく車を眺めながら、いつものホットドッグをのんびりと頬張る。
久しぶりに食べるお気に入りのホットドッグは、ちょっとだけ外国の味がした。