音楽家は耳が命。・・・とかね。
耳が聞こえなかったら音楽が出来ないからね。
でも、ベートーベンは・・・耳が聞こえないのに音楽をたくさん作った。
ということはぁ・・・耳が聞こえなくても、音楽家ではいられるということか?とかね。
そんなわけで、僕の耳。今現在、左右の耳、つまり、両耳の鼓膜に穴が空いています。
両耳の鼓膜に穴が空いているからといって、音が聞こえないというわけではありません。音は、聞こえます。聞こえるのだけど、すべての音がくぐもっています。
例えば、車のエンジン音とか。我が愛車ジムニー号、騒がしいジムニー号のアイドリングの音は、まったく聞こえません。動き出したら聞こえるのだけど、おもちゃの車のような音に聞こえます。
トイレを流す音は聞こえません。あれ?流れてないの?と想って見てみると、流れているので、その音は聞こえないのだと判断できます。
世界がくぐもっています。
もちろん、人の話もあまり聞こえません。これに関しては、悪口とかが聞こえないから、良かったりして。とかね。
何が聞こえていて、何が聞こえていないのか、それがわからないから困ったりもします。
鳥が一羽鳴いているなぁ・・・なんて想っていても、実際は1000羽くらい鳴いているのかもしれないしね。ほんとは、それほどは困らないんだけどね。
大学病院に行って、めまいの検査をしてきたのです。その検査の結果いかんでは、手術をしなけれぼならないのだけれど、その検査自体も、意外に手術っぽいんじゃないの?と想えてしまうようなものでね。
台に寝かされて、耳の中に麻酔薬を染み込ませた綿を入れられる。
それから外に出されて、10分待たされる。
鼓膜に麻酔が効いてきた頃にまた呼ばれ、また台に寝かされる。
台に寝かされて、耳の中の綿を取られる。そしたら、頭の位置を逆にしてと言われる。逆とは、脚があった方へ頭を持って来いということ。へ?なんで?と想いながらも、逆らうわけにもいかないので逆にする。
そんで、耳に何かが入ってくる。ウィーン!!!っていってる。なんかすさまじい音がしてる!あーーー!と想ったら、耳に何かが突き刺さった。あっ、終わった・・・と想ったね。だって、耳に何かが突き刺さって、ガン!て音がしたんだもん。
ガン!という音は、レーザーメスで、鼓膜を切り裂いた音。
そんで、また逆になってと言われる。鼓膜を切り裂かれた直後に、起き上がって逆にならなきゃいけないなんて、ちょっと酷だと想う。なんで逆なんだよぉ!
でも、また逆になる。そしてら、切り裂いた鼓膜の奥に向かって、何か細いものが侵入してくる。奥の奥の奥の方まで。未体験の奥の方まで。脳まで届いちゃうよぉ!ってくらいにね。
そこからは宇宙。なんかを注入される音がする。耳の奥の奥の奥の方で何かが聞こえた事なんてないから、もう、それは宇宙なの。未体験ゾーン。おれ、宇宙の音を聴いたよ。
そこから、今度は、何かを吸い出される音がする。キュイーーーーンという感じの変な感じ。これ、ちょっと痛い。注入された液体を抜かれる時、ちょっと痛い。もう泣きそう。あぁ、泣くよ、おれ。
でも、泣かずに無事終了。というのは嘘。
今の行程をもう一度。今度は逆の耳。
未体験ゾーンは、未体験だからこそ、驚きと共に乗り切れたりするもので。一度体験したものは、もはや未体験ゾーンではなく、体験ゾーンなのだから、怖さは数倍。あぁぁぁ!またあのガン!が来るよぉ!とか想ってしまうのだ。そして、覚悟の上の鼓膜をガン!とされる。あぁぁぁ!またキュイーーーーンが来るよぉ!と想いながら、キュイーーーーンとされる。泣くよ、もう。
そんなこんなで、問診から始まって、検査終了まで五時間近く、大学病院で過ごしたのであります。検査の後は、フラフラ朦朧なのであります。
さっき、鼻をかんでみたんだけど。面白いんだよね。鼓膜に穴が空いてるから、耳から空気がスーッと出て行くんだね。
へぇ・・・と感心していたら、お医者さんがくれた検査の説明書に、鼻をかんだらいけません!と書いてあって驚いたんだよ。
早く治るといいなぁ。
おわり。