あぁ、どうしてもっと早くやらなかったんだ。思うこと千回。
車検場へやって来た。時間より早くやって来た。余裕を持って臨むのである。
実は二年前にここへ来ている。なのに昨日は間違えた。
見たことのない建物を見て、「へぇ、全部建てかえたのかなぁ?」とか思っていた。へへへ。
書類を書いた。簡単である。
重量税と自賠責保険代を支払う。簡単である。
受付は終了した。いざ。今度こそいざ、なのである。
早く着いて、早く書類が書けて、早く受付を済ませたので、三番目に並んだ。
第4ラウンドはまだ始まらない。バイクを停めて待つ。
周りはバイク屋さんのツナギ作業着を着た人たちばかりである。
暇なのでちょっと話しかけてみる。
行田と羽生のバイク屋さんに話を聞いたのだが、バイク屋さんに車検に出すと六万円か七万円もかかるらしい。
うそだろ!と思った。四万円くらいだと思っていた。バイクの車検に七万円・・・二年に1回七万円。払えませんよ。
光軸を自分で調整してきた話をしたら、バイク屋さんは笑っていたよ。
光軸で落ちたら、すぐにテスター屋へ駆け込んで、光軸調整してもらってもう一回並びます。だってテスター屋に払う二千円が惜しいから。と言ったら、バイク屋さんは笑っていたよ。
さて、順番がやって来た。
ウィンカー、ブレーキランプ、ホーンをププー。
前に進んで、スピードメーターチェック。掲示板にマルの表示が出る。
フロントブレーキのチェック。マルが出る。リアブレーキのチェック。マルが出る。
またまた前に進んで、いよいよ光軸のチェック。
ハイビームにしたところへ、光軸チェックマシーンが被さってくる。
どえなんだ!マルが出るのか!出ないのか!
マル!マル!マル!出ました!マル!
合格でーす。
ほんとですか?合格ですか?合格なんですか?ありがとうございまーす。声も昂る。
受付へ戻って、新しい車検証とナンバープレートに貼り付けるステッカーを受け取る。
帰りの準備をしていると、バイク屋さんのにーさんがやって来た。
「よかったですね!俺の方が光軸引っかかっちゃって不合格でしたよ!あはは」と笑っていた。
テスター屋にお金を払ってみてもらっても、落ちることがあるのか・・・勉強になるなぁ。勉強になり過ぎる。
帰り道・・・ルンルンである。
お気に入りのジェラート屋へ寄ったりする。
お気に入りのジェラート屋のおじさんに言ったりする。「いやぁ、バイクのユーザー車検に行って来ましたよ」とか。
いやぁ、やってみると、意外と簡単だったなぁ。もっと早く行けばよかったなぁ。
かかった費用は一万五千円くらい。
バイク屋さんに頼んでいたら七万円かかったとして・・・テスター屋で光軸調整をしてもらったら二千円かかったとして・・・五万七千円も得をしちゃったなぁ。やるなぁ、おれ。
シャドウちゃんと旅に出たいなぁ。キャンプ道具をどかっと載せて、旅に出たいなぁ。いい季節だなぁ。旅をするにはいい季節だ。
車検が終わってスッキリしたなぁ。
面倒なことは早く終わらないとなぁ。
なんでいつもギリギリなのかなぁ。
みんな元気かなぁ?
僕は元気だよ。
おわり。