音楽の話の続き。
ギターアンプの話をしてみよう。
ちなみに、この世界で一番凄いギターアンプって何か知ってる?
おれはね、そんなの知らない。
僕はギターリストでもあるわけなのだ。長いバンド人生を振り返ってみる。
たとえば歌いながら弾くボーカルアンドギター。たとえば一人のギターリストがテロリロテロリラ〜とフレーズを弾くのに対して、その反対側に立って「ジャーン、ジャガジャーン!」とか弾くギター。
そういう人のことをサイドギターと呼ぶのだね。
そう、僕はサイドギターリスト。
下手だけど、ギターを弾いてバンドをやりたい!という人は、サイドギターになるしかない。そういう決まりがあるのだね、世の中にはね。
ライブハウスには二種類のアンプが備え付けてあったりする、ことが多い。ジャズコとマーシャル。ド定番。
ジャズコはRolandのジャズコーラス。コーラスが付いているんだぜー!という、僕的には、、なんでコーラスを付けたことをそんなに威張ってんだ?ジャズコのコーラスなんて使ったことないけど・・・。
マーシャルは基本的にギャーンと鳴るアンプ。基本的にギャーンとなる。絶対にギャーンとなる。
サイドギターはアンプを選べない。アンプを選ぶ権利は常にリードギターが持っている。これはこの世の常識。リードギターが使わない方のアンプを黙って使う、それがサイドギターの誉れ。文句なんて言わない。言えない。ジャズコでもマーシャルでもない、聞いたことのないアンプだったとしても、嫌だとかは言わない。余ったアンプでジャカジャーンと弾く。それがサイドギターなのだね。
僕の場合はね、実の所、使いたいアンプなどない。好みのアンプもない。なんだっていい。選択権があったとしても、どうだっていい。だって、何で鳴らそうが、僕の技量では大差ない。大差ないのだね。ジャカジャーン。
昔、学生時代のバンドの頃。新宿のリハーサルスタジオで練習して、練習後に「牛若」という牛丼屋で牛丼を食べてから帰るというのが定番、という時代があった。
メンバーが寄せ集めだったせいもあり、それぞれがバンドを掛け持ったりしていたりして、メンバーの誰かが穴を開けるなんていう時も多々合った。
その日はリードギターが欠席。その日のスタジオはお値段高めの良いお部屋。ギターアンプも普段のお安いお部屋よりグレードの高いものが置いてある。
Mesa Boogieのmark3というアンプがある。メサブギー。メサブギ。通称ブギー。
リードギターは、ブギーが置いてあれば必ずブギーを使う。メサブギが良く似合う音色のギターを弾く男だった。もちろん、サイドギターに断ったりはしない。スタジオに入り、無言でブギーのジャックにシールドを挿し込む。
リードギター不在のスタジオにブギーのあんが置いてある。
「ブギーだ・・・」と僕は思う。でも、ちょっと恥ずかしい。僕のようなサイドギターがブギーにシールドを挿しこんでいいのだろうかという疑念が湧いて来る。
「ブギー、鳴らしてみたいなぁ」と僕は思う。
その日の練習後、牛若で牛丼を食べながらメンバーが言った言葉が忘れられない。
「今日のギターの音良かったね。リードみたいだったよ。ブギーを使えば誰でもリードになれんの?」
多分、それは違うと思うけど、ブギーの音はカッコ良かった。ギュイーンギュイーン。
後にも先にも、ブギーのmark3を鳴らしたのはこの時だけ。20万円くらいかな?30万円くらいかな?知らないけど。買うならブギーのmark3。買わないけど。だって、鳴らす場所がないから。レコーディングなら使うにしても、鳴らす場所がないなら。買わない。
長くなったのでこの辺で。
次回は、「しんぐ遂にブギーを手に入れるの巻」。お楽しみに。