キムキムにーやんの所には、11個ほどの巣箱がある。らしい。
キムキムにーやんが言っていた。
「分峰がうまくいったら、またあげられるかもしれないからな、期待せずに待っとけ」
期待しているのである。実は、期待しているのである。だって、ハチさんに逢いたい。
でも、キムキムにーやんはこうも言っていた。
「順番があるからな。期待せずに待っとけ」
つまり、去年僕がハチの群れを貰えたように、今年もハチの群れを貰いたい人がいて、その人たちのリストがあって、そのリストには順位が付いていて、その順番が回って来るまで、つまり、運良くハチの分峰の回数が重なれば、僕の所へハチの群れが来るかもしれないという話。
ほんの少しだけ期待しているのである。
ある日のこと、電話が鳴った。発信元はキムキムにーやんである。
もしもし?
あのな、うちのハチもアカリンダニにやられた。二つの巣箱を残して、あとは全部やられた。
えっ?ほんとに?
だから、今年は、無理だ。今年は、あげられない。申し訳ない。
キムキムにーやんは、本当に優しい人だなぁと、僕は思った。
大丈夫っす!おれ、待ち箱をたくさん仕掛けましたから!
全然入る気がしないんですけどね、とは言わない。絶対に入るわけないっすけどね、とも絶対に言わない。
今年は、キムキムにーやんの周りの人もアカリンダニの被害に遭っているというような話をしていた。11箱のうち9個もやられたなんて・・・。
僕は、仕掛けた待ち箱の隣に佇みながらつぶやく。
「はちみつカフェは、終わりになりました。始まってないけど」
さようなら、はちみつカフェ。始まってないけど。
さて、さて、長い間つきあってくれてありがとう。ハチの話ね。
こうやって、物語は始まり、終わった。という・・・。
こんな話を書こうと思っていたのです。書き始めが遅くなって、なんだかワチャワチャと色々な事があり・・・重なり。
そして、このブログのシリーズを書いている間にも色々なことが起こり・・・。
もう少しだけ、続くのであります。終わりだと思ったら、もう少しだけ、続くのであります。
それはそれは悲しく儚い・・・物語だったりして・・・。
では、また。