ライダーハウスに戻った。
ライダーハウスの横に軽トラが停まっている。
おや?
軽トラ?
管理人?
このライダーハウスには管理人はいないはずだが・・・。今日は特別かな?
管理人がいないライダーハウスのため、ライダーとチャリダー専用のこの施設に、四輪でやって来て泊まる輩が結構いるのだとか。
だから、部屋の中のルール看板には色々とサインペンで書き殴った跡がある。
たとえば、
「四輪は出て行け!」とか。
部屋に入ると、入り口付近におじさんがいた。座っている。
おや?
管理人では、ないな。こりゃ。
テーブルにコーヒーメーカーとかコップとかお菓子が載っている。
おや?
絶対にちがうと確信する。
挨拶をしたあと、声を掛けてみる。
「車ですか?」
おじさんは答える。
「うん、車」
なるほど。なるほど。
別に僕は、四輪出て行け!とは思わない。がしかし、ルールはルールだ。四輪は出て行ってもらわないと困る。ここは、ライダーハウスなのだ。ライダーハウスとチャリダーのための宿なのだ。
僕は別にムッとはしていないが、きっと顔はムッとしている。だって、四輪は泊まってはいけないんだから。
おじさんが言う。
「コーヒー、飲みます?」
何を!?
コーヒーだと?
そのコーヒーメーカーで淹れたやつか!?
ここはな!ライダーハウスだ!四輪はダメなんだ!四輪は・・・まぁ、いいか。今回だけだぞ。
「いただきまーす」
こうして、おじさんとの夜が始まるのである。