23匹のオショロコマ。全部、片栗粉をつけて唐揚げ。
旨い。美味い。うまい。
魚をさばくのは、いつも僕の担当らしいので、「23匹もいるのか・・・面倒だなぁ・・・」と思っていた。
すると、きたさんが言う。
「洗い場に置いてある昨日の洗い物をしてくれるなら俺がさばいたるわ」
オッケーでーす。洗い物やりまーす。男に二言はありませーん。オショロコマ、全部さばいてくださーい。
きたさんが、オショロコマのお尻から口元までナイフを入れる。内臓を出して、頭とエラをちぎって、背骨の血合いを指でこそぎ取る。そらで一丁上がり。
僕はきたさんの洗い物をする。
3匹くらいさばいたところできたさんが言う。
「腰が痛いわ」
「まだこんなにある」
「ぜんぜん減らへん」
僕はこう言う。
「弱音ばかり吐くんじゃない!」
洗い物を終えた僕は、きたさんに甘いた僕は、きたさんの隣でオショロコマさばきの手伝いをする。
そして、きたさんの横でブツブツと言う。
「おれがガヤを裁く時、きたさんは全然手伝ってくれないよね」
「きたさんは、おれがガヤを捌いてるとき、向こうで座ってタバコをプカーっと吸ってるよね」
「優しいなぁ、おれ。オショロコマ、手伝ってあげて」
「きたさん、反省しなよ、反省」
グッドイブニング羅臼のオショロコマ。
羅臼に来て六日目の夜。
きたさんが旅を始めた頃の話をたくさん聞いた。
「こんなこと話すとは思わへんかったわ」ときたさんは言った。
僕は人の歴史を知るのが好きだ。
きたさんはいつも、色々なことを教えてくれる。
きたさんと友達になれて・・・良かった。