17歳の頃。高校の昼休み。
チャリンコに乗って全力で走る三人組。ナラとカザワとオレ。
10分と少し走れば、ナラの家へ着く。ナラの部屋は上がり込み、三人で灰皿を囲んで煙草を吸う。何を話すわけでもない。煙草を吸う。
その頃は、高校生は煙草を吸ってはいけないという法律があったので・・・えっ?今もなの?えっ?今もそうなの?・・・へぇ。
17歳の頃。その頃からずっとハイライト。ちょっとキツめのタバコである。その頃のタールは19ミリグラム。オーストラリアでは違法なタール量だったりしてね。今は17ミリグラム。ロングピースの24ミリグラムには負けるが、ちょっとキツめのステキなタバコである。
ハイライトを吸っていると、声をかけられる。おじさんに。声をかけられる。
「おれも昔はハイライトだったなぁ」
これ、定番。かなりの確率で、これ、定番。
十年くらい前だったろうか?タバコのパッケージに「警告」が書かれるようになった。
それはそれはショックな出来事だった。
タバコのパッケージが・・・ハイライトのパッケージが・・・おかしくなった。
その時に語られたのが、ハイライトのパッケージのデザインについてである。
ハイライトのパッケージのデザインは、稀代の才人イラストレーター和田誠氏が手がけたという。1960年にデザインされたハイライトブルー。
警告が載せられたことにより、デザインが台無しになってしまったという記事をどこかで読んだ。
それから、時は経ち・・・
先日、ライブの日に、差し入れで、タバコを頂いた。もちろんハイライトを、である。
手持ちのタバコが残っていたので、差し入れで貰ったタバコに手をつけたのは、ライブ後、数日経ってからのことである。
驚いた。驚いたというより・・・唖然とした・・・というより、憤慨した・・・というより・・・呆然とした。
ハイライトのデザインが・・・
ハイライトブルーが・・・
なんだこれ?
こんなの、全然カッコよくない。
いっそのこと、禁止にしたらいいんじゃないの?タバコ。大麻やコカインやMDMAみたいに。
そしたら、おれ、密売人から買うから。無意味な警告文など載っていない、ハイライトブルーのハイライトを密売人から買うからさ。
なんだこれ?全然カッコよくない。
奇しくも、ハイライトブルーをデザインした和田誠氏は、今年の10月に83歳で亡くなった。
最期に、目にしたのだろうか?
ハイライトブルーが片隅に追いやられてしまった、ハイライトのパッケージを・・・。