そろそろ帰るかなぁ、ライハに。
なんて思いながら、まだ海の中をのぞいて歩いていると、「あっ、魚だ!」。
なんだ、あれ?
なんなんだ?あれ?
羽が生えた魚が二匹、ユラユラと水面近くを漂っている。
ゆらーゆらー、ゆらーゆらー
なんだ?羽が生えてるぞ?
君たちは何なのだ?なんていう名前だ?
向こうから長靴を履いた地元のおじさんが、犬を連れて歩いてくる。
僕は叫んだ。
「すいませーん!」
「ここに羽の生えた魚がいるんですよぉ!」
「この魚、なんなんですかぁ!」
犬を連れたおじさんは、近くに来て海を覗き込む。
相変わらず羽の生えた二匹の魚がゆらーゆらーと水面近くを泳いでいる。
おじさんは言った。
「知らねぇなぁ」
・・・
・・・
おじさんは興味なさそうに行ってしまった。
・・・
・・・
知らねぇのかよ!地元のおじいのくせに!
おじい!知らねぇのかよ!
チェッ!おじい!知らねぇのかよぉ!
と、悪態をつく僕なのであった。
二匹の羽の生えた魚は、ゆらーゆらーと泳ぎ続けるのである。