ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

何もかもが色褪せてしまうくらい。

2018-10-19 10:19:03 | Weblog


名残は惜しいが発たなければならない。

雪月花廊にお昼ごはんのお客さんが来ている。

カカはキッチンで何かを作っている。忙しそうだ。

いいタイミングだ。

カカに声を掛ける。

「行きます」

カカが火のついたコンロを後ろにして振り返る。

「トトの話をたくさん出来て良かった」

カカが言う。

「また来ます」

僕が言う。

「トトとの約束を果たしたから、今度はカカとの約束を果たしに来ます」

僕が言う。

「また来ます」

僕が言う。

「ここから見送りますね」

カカが言う。


僕は玄関から外に出て、バイクに跨る。

サイドカーくんが外まで見送りに出てきてくれた。

振り返ると、雪月花廊の小さな窓の向こうで手を振るカカの姿が見えた。


たった一夜。短い時間だった。

本当に来て良かった。と僕は思った。

いっぱい泣いていっぱい笑った。

本当に来られて良かった。と僕は思った。


紅葉の山を僕は走る。

「いい旅だったなぁ」

と僕は思った。

「楽しい旅だったなぁ」

と僕は思った。

このまま旅が終わると錯覚を起こした。


まだ終わってない!

まだ終わってなかった。

あぁ、ビックリした。

危なく旅を終わらせるところだった。

あぁ、ビックリした。


雪月花廊はすごい所です。ほんとに。

トトとカカの雪月花廊のお話。

今回はここらへんで。おしまい。

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