

高校の時の同級生が家に遊びに来た時に、言っていた。
「もっとこう、ドッシリとした重いマグで飲みたいんだよね、珈琲を」
ほんとか?ほんとだな?重くていいんだな?
このマグ、すごく重い。たぶん、430グラムくらい。650グラムの土を使って作った。乾燥して、焼かれて焼かれて、今はたぶん430グラムくらい。重いよ。
まぁ、気持ちは分からなくもない。ドッシリとしたマグで飲む珈琲は、きっと旨い。
ネジが折れて、ラジエターの液がダダ漏れになってしまったジムニー号の話。の続き。
もはや、素人の出る幕ではない。ボルトの穴に、途中で折れた固着したネジ。
・・・
車屋へ行こう。
馴染みじゃない、馴染みの車屋へ。近所の車屋へ。
蓋は、片側のネジしか締めていない。締めていないから、エンジンをかければ、液が噴き出す。その状態で車屋へ。3キロ。
馴染みじゃない、馴染みの車屋のにーさんは、いつも忙しい。でも、いつも親切だ。だから、困ったことがあると、いつも駆け込む。3回目。
車屋のにーさんは、ボンネットを開けたジムニーを覗き込み「あちゃー」と言った。
「これは、すぐには直せないよ」
「この台座は、ここと繋がってるでしょ?ほら、すうすると、これごと替えなきゃならないかもしれないよ」
これごとってのは、もう、エンジン丸ごとに近いみたいな感じなのである。
そう、ネジが折れた時点で、もう終わってしまっているのである。そんなことは知っている。オワコン。
なんかいい方法はないですかね?とかね。聞いてみる。
「うーん・・・」車屋のにーさんは唸る。
どちらにせよ、なににせ、車屋のにーさんは年末でとても忙しいので、何もしてやれないとのこと。
でも、ひとつ、ヒントをくれた。ヒントというか、唯一の答をくれた。
僕は、再び、ジムニー号のラジエターの液を噴き出させながら走らせるのである。
どこへ?
我が家へだよ。
まだあった。素人にも出来ることが、まだあった。
つづく。