可愛い花瓶が出来た。
家の周りをキョロキョロしながらウロウロと歩く。
「なんか、可愛い葉っぱはないかな?」
紅葉した可愛い葉っぱを発見。ポキっと折って、花瓶な挿してみる。
「うへぇ!めっちゃ可愛いじゃーん」
とかね。
ジムニー号が、我が家からいなくなってしまった。代わりの車が、ある。ジムニー号はいない。代わりの車が、ある。
ここ四、五日、元気がない。僕の元気がない。
旅を中止したため、それほど忙しくなくなったからなのかもしれない。
僕の元気がない・・・なんてことは、すごく珍しいことなのだと思う。元気をなくして初めて気付く。一年間、ずっと、元気に過ごして来たんだなぁ・・・とかね。
ジムニー号の水温計がグングンと上がり始めたのが、一週間ほど前のこと。
このままだと壊れる。エンジンがオーバーヒートして壊れる。
ちょこちょこと調べて、「これはサーモスタットがダメなんじやないか?サーモスタットを交換すれば直るんじゃないか?」という結論に達する。勝手に達する。素人が達しても、それはまったく正解ではなかったりするから怖い。すごく怖い。
インターネットで注文した。サーモスタットを注文した。
すぐに届いた。サーモスタットはすぐに届いた。
「よし、交換するぞ!直すぞ!ジムニー号!」
サーモスタットの交換は意外と簡単である。インターネットによるとね。ネジを2本外して、パカっと蓋を開けて、サーモスタットをササっと交換して、蓋を閉めて、終了。かーんたーん。
よし、ネジを外すぞ。
「固いなぁ」
「固いなぁ」
必殺潤滑剤ラスペネちゃんをプシューっとかけて、しばし待ったりして。
一本、回った。
もう一本。かーんたーん。
慎重に、少しずつ、少しずつ。おっ、少し回った。2ミリくらい回った。2ミリずつ、
少しずつ。
2ミリを回すこと、10回くらいか。
ネジが、ポキっと折れた。
そう、ネジは、2ミリずつ回っていたのではなく、2ミリずつ、千切れていたということだな。そういうことだな。そういうことなんだな。
なんでや!なんで折れるんや!ネジ!
ジムニー号、25歳くらいである。人間の25歳は若造だが、車の25歳は・・・もうおじいもおじい。おじーちゃんである。
25年間、一度も回されなかったボルトは、サビやらなんやらで固着して、絶対に回すことが不可能!みたいになってしまっているのである。
そう、ネジが折れたことにより、蓋は開いた。蓋は開いたが、ネジが折れたので、もう二度だ閉まることはない。わかるかい?蓋は、もう二度と閉まることはない。わかっているのかい?蓋が閉まらないんだよ。
ラジエターの水がさ、ビチョチョーっと漏れているのだよ。蓋が開いたところからね。
もう終わりだよ。こんなもの。もう終わりだよ。だって、ネジが折れちゃったんだもの。液がダダ漏れになっちゃったんだもの。蓋は、二度と閉まらないんだもの。
つづく。