平取、喜茂別というルートで進もうと思っていた。
平取に行くと、高確率できたさんがついて来る。
だから、ルート変更。喜茂別へ行く。喜茂別へ行くときたさんはついて来ない。なぜなら、会員制ライダーハウスに泊まるからである。
喜茂別のライダーハウスは、車でも泊まれないことはないのだが、その事はきたさんには言わない。
喜茂別に行くから、きたさんは札幌へ帰りなさいと、言い含めた。
きたさんは、「倶知安に行こう」とか、色々と抵抗をしていたが、あきらめた。
作戦成功である。
午前中。静内の山の中を、きたさんの車でグルグルと回っていた。なぜ回っていたのかはわからない。最終的に道に迷ったらしく、グーグルマップを起動していたが、携帯圏外で使えず、さらにグルグルと回っていた。なんなんだ?
その間に考えた。
何もわざわざルート変更する必要もないんじゃないか?とね。
二風谷のおじさまに会いに行けばいいじゃないか、たとえきたさんが一緒について来たとしても。とね。
どうかな?ほんとうはどうかな?わからないけれど。
きたさんのことは決して嫌いじゃないが、きたさんがいると自分の旅が出来ない。
きたさんは悪気なく、僕が「一人でやることがない」と思っている。
なぜか、静内の山の中をグルグルと回る車の中、僕は言った。
「今日は平取に行くか?」
きたさんは嬉しそうな顔をした。
そりゃあそうだ。