赤土の平皿。織部と辰砂と鈞窯。
これはいいと想う。予想よりいい。織部の赤が出なくても、辰砂の赤が出なくても、鈞窯の紫感が出なくても、これはこれでいい。と思う。
ところで、ジムニー号の話が終わっていない。書こう。書いてみよう。
ラジエター液を噴き出しながら帰って来た僕が手にしたのは、ドリル。ドリルの先に付けたのは、金属用のドリルの刃。
何をする?
何をするって、そんなの決まってる。
折れたネジにドリルで穴を開けるのだよ。ウィーンってね。
穴を開けて、そこにボルトを通して、下からナットで留める作戦。
これなら出来そうだ。たぶん。きっと。
それから二日間、ジムニーのボンネットを開けて、ボンネットの中に座り込み、0.1ミリずつ、ドリルでウィーンと穴を開け続けた。
まず、失敗だったのは、元にあった穴とは別の方向へ穴が開いてしまったことだ。どんどんどんどんずれていき、「まぁなんとかなるだろう」精神が仇となって、全然違う方向へ穴が開いてしまったことだ。だって、金属に穴を開けるのは難しい。
最初に開けた穴は、完全に失敗だった。蓋を閉めても、新しいネジが全然入らなかった。
そこからは、開けた穴を横へ横へと広がる作業。何時間もかけてミリ単位で広げていく。ドリルの性質上、横に広げるのは縦に開けるのの数倍も大変なのである。
4ミリと5ミリと6ミリのネジを買ってきた。
4ミリのネジが入った。蓋をして下からナットで締めてみた。エンジンをかけてみた。ラジエター液がドドドドーっと溢れてきた。・・・全然閉まってない。
またドリル。ドリル一日目の日が暮れた。少し嫌になった。もう直らない気がしてきた。
なんだか、絶対にやってはいけないことをやっているような気がしてきた。再起不能になってしまうのではないか・・・、いや、もう再起不能になっているのではないか・・・そんな気がしてならない。