きたさんが山の奥へドンドン進んでいく。
「椎茸があるはずや」
昔、管理人のおじさんが育てていたキノコの森へ向かっている。
熊鈴を忘れたと言っている。
全力で「ヤッホー」と叫んでいる。
そんなことしなくても大丈夫じゃない?と僕は思うのだけれど、きたさんの言うことは絶対なのである。
つまり、ヤッホーと叫んでいれば熊は来ない。
つまり、ヤッホーと叫ばなければ熊は来る。
つまり、きてさんが叫んでいるから、僕は叫ばなくてもいい。
僕は黙ってついていく。
でも、椎茸はない。だって、椎茸の木は4〜5年で朽ち果てるからね。ははは。
おじさんが死んでから、だいぶ経つらしいからね。