オーストラリア。
みんな旅人だった。みんなおそろしく若い旅人だった。
車で周る者、バイクで周る者、はたまたバスで巡る者。はたまた周らない者。誰も彼もが旅人だった。
みな、働きながら旅をする。働いては旅をし、旅をしてはまた働く。
旅人はいつまで旅人なのか?旅人でいられるのか?そういう問いなのである。
オーストラリア、ケアンズ、リリーハウスのシェアメイトたちとは、帰国後何度か集まった。
カナダに行く者、南米を巡る者、ニュージーランドへ渡る者、様々である。
みな、しばらくのうちは旅人のままだった。
よくいう人生のレールからドロップアウトし異国へ流れた者たちである。何かを探し求め、未知なる冒険に想いを馳せ、なんだかんだとゴタクを並べながら楽しいことだけを探している。
その後のことは、知らない。旅人たちがその後いつまで旅人だったのか、はたまた今もなお旅人なのか、僕は知らない。
旅人たちと会わなくなって久しい。
僕は旅人なのか?それは・・・果てしなく怪しい。今もなお旅人なのか?・・・わからないな。
古い友人。ジュンちゃんに尋ねた。その後の人生を尋ねた。
結局のところ、辿り切れなかったし、書き切れもしない。
「今、73ヶ国やな」。そう言っていた。
僕が聞いただけでも、ニュージーランド、タヒチ、ドイツ、クロアチア、スイス、モナコと、海外で働いている。タイでは、お店も開いたらしい・・・一年で潰れてしまったと言っていた。
今は福島の天栄村で働いているが、三ヶ月前には石川県で働いていた。来月には広島で働く予定だと言っていた。
めまぐるしい。
今彼は日本一周も目論んでいる。今のところ38県を制覇したという。
実にめまぐるしい。
僕は旅人なのか?・・・旅人である。
僕は今もなお旅人なのか?・・・オフコース旅人。
旅人たちはどうしているだろうか?
夢を叶えた者はいるのだろうか?
まだ旅を続けている者はいるのだろうか?
憧れはこの胸の中に。
未だ見ぬものたちに告ぐ。
「もうすぐ行くよ。待っててね」
写真は、会津若松名物、白孔雀食堂のソースカツ丼。