親の目を盗んで・・・とか。
鬼の居ぬ間に・・・とか。
隙を見て・・・とか。
間隙を縫って・・・とか。
僕は、どうにも、畑が好きみたいだ。畑が好きみたいで・・・困る。このまま畑の土の上に這いつくばって、雑草を抜きながら死んでしまいそうだ。って、それは嫌だよ。
この三日間は、雨。
雨だと畑には出られない。
だから、僕は決めてました。
完全に決めてました。
この雨の三日間、僕は陶芸家になると。この雨の三日間、僕は陶芸しか、しないと。
雨の前日、バイクに乗って、家から一時間も離れた群馬県にある超弩級のホームセンターへ出かけた。
バイクなのに、陶芸用の粘土を20キロかけることの2。つまり40キロも買ってしまった。
まるで、タンデムでもするかのように、40キロの粘土を積んで、来た道を一時間かけて戻る。
それもこれもすべては三日間の陶芸家生活のため。
他にも色々と買った。陶芸グッズを色々と買ってしまった。散財してしまった。ライブで売ったレザーグッズの売り上げを着服して散財してしまった。もう僕に残されたものは何もない。40キロの粘土と陶芸グッズ。もう、僕は、陶芸家として生きるしかない。皿を作って皿を売らなければ。次は、皿だ!時代は皿だぜ!
そして、雨。雨が降る。
さぁ、陶芸だ!
僕は窓の外をチラチラとのぞいている。
「雨だなぁ」
僕は窓の外をチラチラとのぞいている。
「雨だなぁ」
僕は何度も、窓の外をのぞいている。
「あれ?雨止んだ?かな?」
よし!ちょっと出かけるか!畑へ!
僕は、どうにも、畑が好きみたいで・・・。
ねぇ、ぜんぜん陶芸やらないじゃーん!
そんなこと、言わないで欲しい。
40キロの粘土を目の前にして僕は想う、
「どうすんの?これ?」