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なんとはなしに池袋の街をブラブラと歩く。服が欲しいわけでも、雑貨が見たいわけでもないので、なんとはなしにブラブラと歩く。ふと目に入る文字・・・平取町商工会の文字。
ん?これはあの、北海道の平取のことかなぁ?
北海道から帰って来たばかりだ。それは気になるってもんだろう。
今時珍しいサンドイッチマンが掲げるその文字を追って、てくてくと歩く。
しばらく歩くと、何やらイベントらしき会場に着いた。この会場の中で、平取町のなにがしかが観られるということなのだろう。入場料を500円・・・と書いてある。・・・何をやっているのかも分からないのに、入場料を取るなんて・・・大したイベントだぜ。そう思いながら、チケットを買う列に並ぶ。
すると、一人のおばさまが斜め左方向からこちらへ向かって歩いてくる。何十人もの人が並んでいるにも関わらず、僕の前で立ち止まった。一枚の紙切れを差し出しながらこう言った。
一枚余ったから、これ差し上げるわ。
そして、立ち去って行った。不思議なこともあるものだが・・・こういうこともあるのだ。
チケットの行列に並ぶ人からの羨望の視線を受けながら、招待券と書かれた光り輝くチケットをヒラヒラとさせながら、僕は列から外れる。・・・こういうことも、あるのだ。
中に入るとクジ引きをやっていた。別にクジ引きなどやりたいわけではなかったのだが、歩いていたらクジを引かされた。クジを開くと・・・一等・・・と書かれていた。ん?一等?
景品引換所のボードの一番上には、ペア旅行券!と書いてある。えっ?旅行券?当たったの?まぢで?と、クールに興奮しながら、一等のクジを係の人に手渡すと、おめでとうございます!!!と叫ばれ、巨大なヌイグルミを渡された。クジに外れた人の群れ、これからクジを引く人の群れから感嘆の声が上がる。巨大なヌイグルミを抱えさせられた僕は・・・少し恥ずかしいだろ?逃げるように、その場を後にする。
去り際にもう一度ボードを見ると、ペア旅行券は特等だった。一等が一番上ではなかった。特等の下の一等のところにはもちろん、巨大なヌイグルミ、と書いてあった。・・・持って帰れねぇよ。
少し歩いたところで、誰かに背中をドンと押されて二三歩つんのめったら・・・そこはジャンケン大会の会場だった。ん?ジャンケンなんてしたくねぇよ。と思っていると・・・威勢のいい声がスピーカーから響く。
さぁ、利き腕をあげてぇ!
なんといっても、ここはジャンケン大会の会場なのだ。手を挙げないと周りから白い目で見られる。仕方がない。ヌイグルミを持っていない左手を挙げた。
最初はグー!ジャンケン・・・。
あれよあれよと勝ち進み、決勝戦でも勝ってしまい、望みもしないのに、二重構造保温保冷タンブラーを左手に持たされてしまった。・・・右手には巨大なヌイグルミ。左手にはタンブラーの箱。・・・もう何も持てねぇよ。
それにしても、なんなんだ?今日は?なんでも当たる日なのか?こういう日もあるのか?
それにしても、平取町の商工会はどこにいるんだ?
つづく。