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穏やかな朝。雲間から薄日が射すような、射さないような。暖かい。
クッチャロ湖の湖面は風にさざめくことなく空を映している。
キャンピングカーのおじさんと話をしていたら、出発が遅くなった。
遅くなったからといって、なんてことはない。
なかなか強者のおじさんだった。北海道の隅から隅まで走りたいのだと言う。ダートから何から、道という道を走っているのだという。・・・そんな人、会ったことない。五月から半年間。
北海道にあるすべてのキャンプ場を泊まったり見て回ったりしたと言う。400カ所以上のキャンプ場すべてを。そんな人会ったことない。
おじさんは言う。
「若い時にやらなきゃダメだ。歳取って、目も悪くなって、足腰も言うこと聞かなくなってからやったって仕方ないんだよ。なんでも、若い時にやらなきゃダメなんだよ。出来る時にやらなきゃダメなんだよ」
さぁ、出発だ。若い時にやらなきゃダメなんだよ。
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