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アイーダ

2011年05月07日 23時09分00秒 | 観劇

雨が予報されている東京とは反対に、大阪は青空が広がり初夏を感じさせる天気でした。
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これから観るアイーダの舞台が素晴らしいものであることを、教えてくれているかのようです。
アイーダは東京公演でしか観ていないものの、濱田さん、樋口さん、江畑さんのアイーダを観ることができました。
唯一観ることができなかった、智恵さんのアイーダ。
先月24日に観て、とても感激をしました。
オリキャストしての濱田さん=アイーダと感じる方も、多いことと思います。
実際、東京公演の時の濱田さんのアイーダと阿久津さんのラダメスには、とても感動をしたことをblogにも残しています。
でも、前回智恵さんのアイーダを観て、アイーダに対するイメージが変わってきました。
今日の舞台を観て、改めて智恵さんの演じるアイーダについて考えてみました。
捕虜となり、奴隷の身となりながらも、ヌビアの王女として、自国の民の生きるための希望となることを選ぶアイーダ。
1人の女性としての敵国の将とのかなわぬ愛に揺れ動く女性の感情を、きめ細かく表現しているだなと感じました。

気高さと弱さ
ラダメスの兵士たちの隙をうかがい、危機からの脱出を謀るアイーダ。
ラダメスではないけれど、スピードがあり、なかなかの剣捌きです。
剣を習っていたとは言え、実戦の経験などないはず。
それでも、兵士達に立ち向かう姿は王女としてのアイーダなのでしょう。
しかし、ラダメスがアイーダを連れだし、「戦の垢」を落とさせようと剣と桶とで威嚇をした時、体を震わせて暴力に怯えています。
悔恨
「あの日は遠くに」での歌声は、無謀な行動の末が歌われます
歌声に思いが載せられ、胸が締め付けられます。
美しい歌声が、いっそうアイーダの辛さを感じさせ、涙が出てきました。
奴隷と王女
エジプト人と思われたメレブが案内をする時、メレブが差し伸べる手を拒むアイーダ。
1人、真っ直ぐに前を向き胸を張り歩くアイーダと、この女は何者なのかと言いたげなゾーザーの目が印象的でした。
奴隷から、アムネリスの侍女となったアイーダ。
エジプトの王女と接するものの、まるで親交のある国の王女と対するかのようです。
特に気になったのは、アイーダの寝室で髪をとかしながらファラオを王様ではなくお父様と呼んでいたこと。
普通の侍女では、あり得ないことでしょう。
王女としての苦悩
アムネリスの苦悩に理解を示すアイーダ。
ヌビアの王女として、彼女もまた感じていた悩みだったのでしょうか?
無邪気さ
「儚い夢」でナイルの旅を語り合う時のアイーダ。
ナイルの旅の自由を思いだし語るアイーダの笑顔が、少女のようで輝いています。
決意
「ローブのダンス」では奴隷となってしまった自身を悔い泣き、悩む姿と、ヌビアの民に心を動かされ強さを取り戻すまでが良いです。
駆け引き
川で染め物を洗っているシーンでのアイーダとラダメスの間で交わされる、2人の心の変化がとても良いです。
互いに惹かれ合う想いと、奴隷に対する威圧的態度のラダメスと、用意された運命に従うだけの将軍を見下したような態度にアイーダ。
ラダメスのキスによって、互いの愛を確認した2人。
自分の立場を理解しているアイーダの心の揺れ等々。

「迷いつつ」でラダメスに対して、それまでは将軍と呼んでいたアイーダが、自身の思いに気付き、初めてラダメスと名前で呼びます。
「愛している」と口にするアイーダ。
ラダメスの再度の求めに、口を手で覆う悪戯っぽい仕草もまた可愛いです。
悲痛
ヌビア国王拘束の知らせに、言葉を詰まらせ、声を震わせるアイーダ。
鼓舞
ローブのダンスでは自身を励ましてくれたヌビアの民を、アイーダが勇気づけるシーンは、力強い歌声が思いを伝えてくれます。
「思い出すあの日 遠い故郷 いつか 帰る 共に手を取り」スローで優しく歌い始めるところは、自分にも言い聞かせているのでしょうか?
ただ、地に伏せている男に地面を叩いて「顔を上げて、希望を持て!」と言っているかのようなシーン、濱田さんくらい激しく床を叩いてもいいかな?
苦悩
「人生の苦しみ」アイーダの心の苦悩が、痛いほど伝わってきます。
倒れ込むアイーダの表情に、涙が出てきます。
智恵さんは演じていないものの、ふとウィキッド2幕の「闇に生きる」が頭に浮かんできました。
訣別
父であり王であるアモナスロからの言葉に、ラダメスの愛を諦めるアイーダ。
別れを告げるアイーダの言葉に対して告げられたラダメスの言葉。
「国に帰れ エジプトから去れ。君が自由になれば少しは気も楽になる。」に泣きながら走り去るアイーダ。
投獄
ラダメスの無罪と助けを、アムネリスに懇願するアイーダ。
迷いつつ~リプライズ
処刑を前にしての歌が、心に響きます。
私は、智恵さんが歌う曲の中で、この曲が一番好きです。
ローブのダンスと同様に、スローで囁きかけるような歌い出し。
美しいソプラノだけでなく、地声で歌う寂びの部分がたまりません。
再開
どれほどの時間が経ったのかは分かりませんが、博物館で再び出会うアイーダとラダメス。最後に見せる笑顔が良いです。
記憶が定かではないのですが、2人の再会を見るアムネリスって微笑んでいましたか?
今日の佐渡さん、穏やかで優しい微笑みを2人に向けていました。
時の旅人となっていたアムネリスも、旅を終えられたようです。
やはり私は、感情の細やかさで、智恵さんのアイーダが好きです。

この日は阿久津さんも佐渡さんも、前回にもまして智恵さん同様に熱い舞台でした。
阿久津さんのラダメス、本当に良いですね。
金田さんや渡辺さんのラダメスと比べては、いけないのでしょうね。
気になるのは、未だ観たことがない福井さんのラダメス。
どんなラダメスを見せてくれるのか?
札幌ライオンキングのムファサから抜けない限り実現は不可能ですね。
金田さんがいらっしゃらないこと、阿久津さんと渡辺さんでラダメスとマンマのサムを演じていることを考えると、そろそろ交代も近いのかな?
いずれにしても、こんな素晴らしい舞台を観ることができて幸せです。

カテコは、早い時点で最前列が一斉に立ち上がりました。
雰囲気的に、智恵さんファンの私以外は、阿久津さんファンの女性という感じでしたが・・・。
繰り返し客席に拍手に応えてくれ、最後に智恵さんが阿久津さんの頬にキス。
女性ファンからの溜息で終わりと思いきや、カーテンの降りた舞台に2階席から「もう1回!」の声が。
ここで拍手が盛り上がり、改めて客席の拍手に応えてくれました。
2階S席はセンターのみの状態でしたが、舞台も客席も熱かったです。

帰宅したばかりなのに、次の観劇を考え始めています。
大阪というロケショーンが、悩ましいです。

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大阪・四季劇場
2011年5月7日
アイーダ 井上智恵
アムネリス 佐渡寧子
ラダメス 阿久津陽一郎
メレブ 金田暢彦
ゾーザー 飯野おさみ
アモナスロ 石原義文
ファラオ 勅使瓦武志
ネヘブカ 石倉康子
【男性アンサンブル】 黒川 輝
朱 涛
田井 啓
徳永義満
品川芳晃
江田あつし
深堀拓也
森 健太郎
【女性アンサンブル】 加藤久美子
大村奈央
宝生 慧
杏奈
高橋亜依
濱田恵理子
駅田郁美