とても楽しめました。
彩の国シェイクスピア・シリーズ第28弾は、オールメールのヴェニスの商人です。
主役のシャイロックは、市川猿之助さん。
猿之助さんと言うと、2010年の「じゃじゃ馬馴らし」でも蜷川さん演出のオールメールで出演していて、この時には市川亀治郎で資産家の娘・キャタリーナを演じていました。
更には、2007年の「NINAGAWA十二夜」のMaria役を麻阿として演じていました。
今回は、老ユダヤ人シャイロックを熱演してくれました。
公演中、笑いを取ることも多かったのですが、時折見せる歌舞伎の仕草がなかなかのもので、客席も拍手で応えていました。
ここぞというシーンでの発声も、歌舞伎役者ならではという感じです。
圧巻だったのは、終盤。
証文を盾にアントーニオたちに迫るシーンや、ポーシャ扮する法学者の裁定を受けたシーンは見事でした。
客席の上手通路に降り去っていくのですが、途中様々な思いを表情に込め立ち尽くします。
私の数列前だったのですが、その気迫に圧倒されそうでした。
猿之助さんのお隣に座っていた年輩の男性は、気迫に押されていたようです。
思わず「澤瀉屋!」と声を掛けたくなりました。
この気迫は、同じく2008年のさいたま芸術劇場での「リア王」の平 幹二朗さんの演技を思い出しました。
ポーシャを演じた中村倫也さんは、声が女性的で雰囲気的にも似合っていました。
本来男性ゆえに、法学者に変装した時点での演技も、なかなかのものでした。
ラスト、バザーニオを自宅で迎え、事情を明かしたとき、付け髭が汗のためか半分くらいが?がれていたのには笑ってしまいました。
バサーニオの横田栄司さんは、蜷川さんの作品にはお馴染みの俳優ですが、こちらも熱演していました。
石井愃一さんは、思っていた存在感を感じなかったのは、猿之助さんたちの存在があったからでしょうか?
アントーニオの高橋克実さんは、鬘と髭をつけたイメージに、最初は他の人かなと思えてしまいました。
でも、普段のイメージとは違い、こちらも予想以上に良かったです。
ネリッサ役の岡田さんは、イメージ的にも想定外でしたが、大いに楽しませてくれました。
こちらも、もう一度観たい演目になりました。
テレビ放送も行って欲しいです。
ヴェニスの商人 さいたま芸術劇場 | |
シャイロック ポーシャ バサーニオ ジェシカ/シスター グラシアーノ/僧侶 老ゴボー/デューパル/僧侶/シスター/高官 アントーニオ ヴェニスの公爵/僧侶/モロッコ大公の従者 モロッコ大公/僧侶/高官 アラゴン大公/僧侶/シスター/高官 ソラーニオ/僧侶 ネリッサ ランスロット・ゴボー/僧侶/シスター サレーリオ/僧侶 ロレンゾー/シスター ポーシャの召使い/僧侶/楽師/シスター/高官 アントーニオの召使い/僧侶/シスター/ バサーニオの従者/高官 ステファノー/僧侶/シスター/バサーニオの従者 ポーシャの侍女/アラゴン大公の従者/牢番/高官 バルサザー/僧侶/シスター/高官 僧侶/モロッコ大公の従者/ポーシャの侍女/ シスター/高官 リオナード/僧侶/シスター/ポーシャの侍女/ アラゴン大公の従者/高官 僧侶/モロッコ大公の従者/ポーシャの侍女/ シスター/高官 楽師(アコーディオン)/僧侶 |
市川猿之助 中村倫也 横田栄司 大野拓朗 間宮啓行 石井愃一 高橋克実 青山達三 手塚秀彰 木村靖司 大川ヒロキ 岡田 正 清家栄一 新川將人 鈴木 豊 福田 潔 市川段一郎 鈴木彰紀 隼太 内田健司 坂辺一海 白川 大 丸茂 睦 |