昨日夕方に自宅で倒れていた88歳男性が救急搬入された。一人暮らしで、時々地区の民生委員が訪問していたそうだ。1週間前にみかけてから姿を見ていないので、遠方に住む娘さんに連絡して、いっしょに自宅に入った。自宅内で倒れて返答もなかったので救急要請した。
やせた高齢者で、四肢の冷感があり、特に下肢末端はチアノーゼを呈していた。いったい何日間倒れていたかわからない。食事はどうしていたのだろう。検査すると、特に脳血管障害はなく(脳萎縮が目立つ)、感染症もなかった。腎前性か腎性かわからない腎機能障害を認めた。点滴を開始して、すこし手足を動かすようになって入院した。点滴の継続で回復するかもしれないとおもっていたが、今日診察した様子では、このままジリ貧でダメかもしれない。
73歳男性が悪性リンパ腫疑いで整形外科医院から紹介されて受診した。当院の消化器科に、アルコール性肝硬変で通院していた。食道静脈瘤もあるが、処置をするほどではない。3日前に左頸部が腫れているので、患者さんは整形外科医院を受診した。腫れているのは複数の頸部リンパ節だったので、すぐに内科紹介となった。示指~拇指頭大のリンパ節で意外に柔らかい。せいぜい弾性柔というところで、癌というよりは紹介状通り悪性リンパ腫かもしれないと思った。
胸部X線・CT(頸部~鼠蹊部)で右肺に大きな腫瘤があり、肺癌だった。右の肺門から出て成長したのではないか。患者さんは年齢以上に元気で体力もありそうだ。(悪性リンパ腫疑いなので)頸部リンパ節を外科で摘出して病理診断をつけてから専門病院に紹介する予定だったが、こうなるとそのまま画像検査のみで紹介したほうがいいようだ。