76歳男性が4日前から続く発熱で内科新患を受診した。胸部X線でわかりにくかったが、胸部CTでは右下肺野に浸潤影を認め、肺炎と判明した。ついでに、右上肺野に腫瘤影があり、不整な辺縁と胸膜陥入を認めることから肺癌と診断される。CEAが軽度高値だった。50歳代までの喫煙歴があり、両側肺野に気腫性変化があった。
まずは肺炎の治療が必要なので、入院してもらった。ふだん前立腺肥大で泌尿器科に通院していたが、処方は3か月分で、尿と前立腺の検査のみだった。健診も受けていないという。年齢と考えると、肺癌の治療は難しいかもしれないが、診断も含めて一度は専門医に紹介する必要がある。喀痰が出ないので、細胞診はとれそうもない。
左頸部リンパ節転移を契機に診断された食道癌の66歳男性が、いよいよ食事をとれなくなって入院した。認知症があり、嚥下障害の訴えがないため、頸部~胸部~腹部のリンパ節転移がある状態で発見された。食道癌を専門にしている外科医とも相談したが、治療は困難ということになった。内視鏡を2回癌を通り越して胃まで挿入したが、意外なブジー効果を発揮して(腫瘍から出血はしたが)、検査の後は食物の通りが一時的に良くなっていた。これが唯一の治療になった。それから約2か月は在宅療養したことになる。左下肺野に誤嚥性肺炎を併発していた。さらに右胸部に帯状疱疹も出ていた。点滴と抗菌薬とゾビラックスで治療を開始したが、そのくらいもつだろうか。
来月の医師会の講演会(糖尿病の治療)で座長をやることになったので、糖尿病の本を2冊読むことにした。