眼科の先生から連絡が来て、白内障の術前検査で受診した74歳女性の腎機能が悪化しているという。内科に回してもらった。
高血圧症・糖尿病・腎不全で腎臓内科外来(大学病院から出張)に、1か月おきに通院していた。7月には血糖コントロール不良で内科に入院してインスリンが導入されていた。
普段は血清クレアチニン2.6~2.8mg/dl程度で推移しているが、それが7.21mg/dlと悪化していた。2週間くらい前から倦怠感があり、食事摂取量と水分摂取量が低下しているそうだ。末梢血の結果からも(Hb10~11から12)、脱水傾向にある。
先月初めの腎臓内科外来の尿検査から尿混濁が続いていて、発熱はないが今回炎症反応が軽度に上昇している。尿路感染症の影響もあるかもしれない。
腎臓内科は週1回で、来週までない。透析室に行って、透析を診に来ている(外来はない)大学病院の同じ教室の先生に相談した。やはり脱水症の影響があるのだろうという。
うっ血・浮腫の評価を行ったが、まず浮腫はあまり目立たない。胸部X線で右胸水が軽度にありそうに見えた。胸腹部CTで確認すると、胸水はごくわずかだった。むしろ腹水が目立つ。あれ。
この患者さんは肝硬変もあった。CT画像上、肝臓は肝硬変と判断され、脾腫もあった。AST・ALT・LDHは正常域にあるが、ALP・γ-GTPは軽度に上昇して、血清ビリルビンが2.7~3.4mg/dlで推移している。処方にウルソがあることからも、原発性胆汁性肝硬変なのだろう(HBV・HCVは陰性)。
腎臓内科の先生から、点滴(ある程度食事摂取できるので、ソルデム1・500ml2本とソリタT3500mlでキープ)、重曹の追加、尿量が少ない時のラシックス追加(ふだんも80mg/日内服あり)、の指示をもらった。
脱水症が軽快しても、血清クレアチニンは高値でとどまるかもしれないということで、外科に先生に連絡して早期のシャント作成の依頼までしてくれた。
親切な先生で助かった。入院してからの尿量は少なく、ラシックスの追加投与を行った。週明けまで少なくとも現状維持で、できれば少し軽快してほしい。