火曜日の当直は大学病院からバイトに来ている若い外科医(大学院生)だった。その日は内科の当番で、救急搬入させた患者さんを内科入院で入れたいと連絡が来た。
42歳男性が風邪薬を大量に飲んで、意識障害で搬入された。きちんとアセトアミノフェンを合計していて、極量には達していないという。どちらかというと、抗ヒスタミン薬の方が問題な様な気もした。経過観察の1泊入院させたいということで、翌朝までの点滴指示をお願いした。
翌水曜日に病棟に行くと、その患者さんはすっかり普段の状態に戻っていた。もう1日くらい病院にいますかと尋ねると、すぐに帰りたいと答えた。昼食を出すので、それを食べられたら午後から退院していいことにした。帰る時は父親が来るまで迎えに来るそうだ。
話を訊くと、月曜日の夜から飲酒を始めていた。普段は飲んでいなかったので、2~3か月ぶりだった。日本酒を1.8L(一升)とビール5L(500mlの缶を10缶)飲んだ。それほど酔わないというが、さすがに酔うだろう。その後、風邪症状があったかどうか覚えていないが、風邪薬を大量に飲んだ。
家に置き薬があり、それを次々に飲んでしまったという。いつも薬を飲む時はかなり多目に飲むそうだ。別に死ぬ気で飲んだわけではない。
飲酒をすると、今回と同じくらい一気に飲んでしまうので、自粛していた。飲酒での失敗がいろいろありそうだが、詳しくは訊かなかった。今回は理由はわからないが(言わなかったし、訊かなかった)、つい飲んでしまったらしい。
保険病名としては、急性アルコール中毒とすると問題がありそうなので急性薬物中毒にした。年に1~2例の安定剤を大量に飲んで入院する患者さんがいるが、その場合もこの急性薬物中毒にしていて、便利な病名ではある。自殺企図とすると保険が通らないらしい。