7月に地域の基幹病院から膵頭部癌術後再発の68歳女性が転院してきていた。子供はなく、夫と二人暮らしだった。オピオイドの調整で疼痛は軽快して退院できるはずだが、入院継続を希望した。
いったん退院の予定を立てたが(少し間をあけて再入院の予定)、精神的に不安定になって、退院は取り消しになった。長期になるとDPC病院としての事情もあり、療養型病床のある病院に転院してもらうが、それも精神的な問題で難しく、長期の入院になっていた。
夫も、妻を病院に預けて、お昼に病院に来ていっしょに昼食を食べて帰る生活が気に入っているようだった、その夫が転倒して肋骨の多発骨折を来した。他院に入院したが、当院への転院を希望して当院外科に入院となった。
紹介先の病院から、肝機能障害とCTで肝臓の腫瘤様病変という記載があった。転移性肝癌を考えたらしいが、結論としてはアルコール性肝障害のまだら脂肪肝らしい。肺野に胸膜直下などに淡い陰影が散在していたのは、外傷による出血かもしれない(喫煙者で気腫性変化あり)。
γ-GTPが1167と上昇していたが、入院後は自動的に禁酒になったので肝機能障害は軽快してきた。やはり腫瘍ではない。けっこうな飲酒家で、酔って転倒して肋骨骨折という経緯だった。
そのうち、全館放送で病棟に戻るようにとアナウンスが流れた。後で訊くと、勝手に外出して自宅に行ってきたらしい。その後希望で早期退院になっていた(飲みたくなった?)。入院中に一度内科病棟に来たが、その後現れなくなった。ちょっといさかいがあったらしい。
さすがに奥さんの方は食事摂取が難しくなってきた。今こそ、頻回に病院に来てほしいところだが、どうなるのか。代わりに夫の姉が毎日病院に来ている。