先週の木曜日の午後に、嘔吐・発熱の67歳女性が救急搬入された。
外科医が不在になって、大学病院から外科外来にバイトで来てもらうことになっていた。外科外来を受診する患者さんは少ないので、救急当番も兼ねるという契約になっている。
その日来ていた外科医が対応した。検査を行った後に、本来腎臓内科だが一般内科も診ることになっている若い先生に引き継いでいた。
患者さんは精神遅滞があり、長年施設に入所していた。これまで直腸癌、胆嚢結石、総胆管結石での手術歴があり、腸閉塞の既往もあった。
その日は昼過ぎに嘔吐して、その後発熱したために、救急要請している。すぐに搬入されたので、胸部X線を撮影したのは嘔吐後1時間に当たる。肺炎像はなかった。腹部は単純X線のみ撮影して、外科医は診察の結果、腸閉塞ではないとしていた。
尿検査で尿混濁を認めたので、尿培養を提出して、尿路感染症として入院としていた。点滴を継続して、セフトリアキソンを開始した。
入院後も嘔吐があり、発熱が続いていた。翌日の金曜日の胸部X線(ポータブル)で両側肺炎(右肺が広範に)を認めていた。その後も嘔吐が続くので、夕方に相談された。
腸閉塞の既往があり、嘔吐が腸閉塞の症状かどうかが気になる。入院時の腹部X線が臥位なので、判読し難い。基本的に腹部疾患は単純X線だけではほとんど情報がなく、CTで見ないとわからない。処置としてはNGチューブ挿入になる。
後は抗菌薬は胃液だけではなく、胆汁や腸液もあるので、抗菌薬はゾシン(PIPC/TAZ)の方がいいと思うとも伝えた。
週末病状が悪化して、若い先生は日曜日当直だったので、検査や治療を修正していた。胸部X線(ポータブル)では陰影が広がっていた。
最初の嘔吐から腸閉塞が始まっていたと推定される。外科医の診察よりも、CTの方が確かだと思う。