なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

大動脈瘤の破裂

2012年12月21日 | Weblog

 75歳男性が有床診療所から左胸部痛で救急搬送されてきた。紹介した内科医の弟が当院で外科医をしていて、ちょうどその外科医が救急当番だった。

 この患者さんは10日前にインフルエンザB型に罹っていた。いったん軽快した後に高熱があり、診療所に入院していた。抗菌薬投与(カルベニン)で治療が開始されて、熱は下がってきたが、微熱が続き。左胸部痛(呼吸性に痛い)が出現してきた。インフルエンザ後の二次性肺炎を疑う経過だった。バイタルサインは安定している。

 胸部X線(臥位)で左肺野が均一に透過度が低下していた。胸腹部CTで左胸腔内に胸水貯留があった。外科医に相談されて見てみると、画像上は左の肺炎・胸膜炎と思われた。ところが、この患者さんは昨年腹部大動脈瘤の手術を当院血管外科で受けて、フォローされていた。血管外科医が画像を見ると、昨年と比べて横隔膜の位置で大動脈が拡大していた。一部に破裂したところがあり、胸腔内と後腹膜に出血していると指摘された。胸腔内に貯留していたのは炎症による浸出液ではなくて血液だった。当院では胸部大動脈瘤は扱えないため、専門の病院へ救急搬送された。

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浮腫で紹介、実は骨折でした

2012年12月20日 | Weblog

 アルツハイマー型老年認知症でグループホームに入所している86歳女性が、両側下肢の浮腫で紹介されてきた。紹介したのは施設の嘱託の内科医でかなり高齢の先生だった。昨年施設に入所した時から浮腫はあったが、急に悪化したという。

 車椅子に乗って施設職員と家族に付き添われた診察室に入ってきた。確かにむくんでいるが、酸素飽和度は正常域で、呼吸苦はない。心不全ではないなあと思いながら、検査を入れた。家族から、動くときに左股関節部を痛がっているので、そこも診てほしいと言われた。自力歩行可能で、夜も施設内を歩き回っていたが、今日は痛がるという。転倒したかどうかはわからないらしい。

 心・肝・腎は問題なし。FDPとd-ダイマーが高値で深部静脈血栓症が疑われたが、あっさりX線で左大腿骨頸部骨折と判明した。深部静脈血栓症を否定するために、そのまま造影CTを施行したが、否定的だった。腹部に下大静脈を圧迫する悪性腫瘍も疑われたので、腫瘍マーカーも提出していたが、異常なしだった。最終的には、もともと肥満体型で静脈還流が悪く、下肢にある程度の浮腫があったが、頸部骨折のために浮腫が増悪したというものだった。結果的には過剰な検査になったが、十分な術前検査をしたことにしよう。

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高齢者のネフローゼ

2012年12月19日 | Weblog

 軽度の精神遅滞で施設に入所している80歳男性が全身の浮腫で内科新患を受診した。3年前から循環器科でPCIを受けている。今月初めから胸部苦悶を訴えて浮腫が出てきた。1週間前に循環器科を受診したが、心機能には異常がなかった。その後浮腫が増悪して今日受診した。血液と尿の検査で尿蛋白陽性(スポットだが、10g/dl以上)・低蛋白血症を認めた。前立腺癌で基幹病院泌尿器科に通院しているがPSA値は正常域だった。

 透析眼科の指示をだしていた腎臓内科医に相談して、腎センターのある専門病院に紹介することになった。膜性腎症らしいが、炎症反応が軽度に上昇して、血尿も目立つことから、ANCA関連腎炎も否定できない。検査でANCAを追加提出したが、外注なのですぐにはわからない。精神遅滞は軽度で、身の回りのことは自分でできる人なので、腎生検を含めてきちんと検査・治療ができると思われた。

 今日は忌中で休んでいる消化器科医の外来を手分けして診ていた。非代償性アルコール性肝硬変の患者さんや肝門部癌で経過をみている患者さんなど難しい人もあったが、なんとか乗り切った。

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1週間は内科ひとりで

2012年12月18日 | Weblog

 消化器科医の母親が肺癌末期で入院していたが、今朝亡くなった。実家のある他県まで運んで葬儀を行うことになる。担当している入院患者、外来予約患者、検査のことなどをあわただしく決めて、帰宅した。内科・消化器科のくくりで4人で診療していた。そのうちひとりは入院中(軽快してリハビリ中)で、たぶん常勤医でもどるこるはなさそうだ。ひとりは亡くなった父親の医院を継ぐことになって開業準備をしていて今週で病院は退職する。年末までは内科・消化器科は私だけとなった。他の診療科の先生方に手伝ってもらい、とりあえずこの消化器科医が葬儀が終わって戻ってくるのを待つしかない。

 幸いに病棟の入院患者さんは安定している。もっとも、残念ながら癌末期や老衰の高齢者で、亡くなるのを待つだけの患者さんもいる。消化器科医担当の患者さんの病状を改めて検討してみた。47歳男性は自宅で寝たきりとなって、食事もとれなくなっていた(食事する気もなかったらしい)。もともと精神疾患があって、治療を受けていなかった。入院字の頭部MRIでウェルニッケ脳症の所見を認めた。ビタミンB1を大量に投与したが、四肢の運動障害はあまり改善しなかった(ずっと以前からの廃用性萎縮もある)。精神疾患の診断のため精神科病院を受診してもらう予定で、その後は地元の町立病院に転院する手配をしていた。

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肺炎、膵炎、喘息発作

2012年12月17日 | Weblog

 金曜日の夜間に60歳男性が急性肺炎で入院していた。3日前から寒気があり(微熱はあったらしい)、当日高熱が出た。当直は応援医師だったが、胸部X線・CTで左右肺に浸潤影を認めた。それぞれ範囲は狭かったが、深夜だったため、そのまま入院していた。抗菌薬はゾシン4.5gが1日3回で申し分ない。市中肺炎で、喫煙者ではあるが明らかなCOPDの所見・症状はないので、セフトリアキソンでもよかったかなというところだ。翌日から解熱してきて今日は調子良くなっていた。通常の細菌性肺炎でよいのだろう。約1週間で退院にもっていけそうだ。

 今日は内科再来をみていたが、年末年始に月曜日が2回休みになるため、その分患者数が多かった。小児期から膵炎発作を繰り返している26歳男性が腹痛で受診した。血清アミラーゼが軽度に上昇しているが、炎症反応は陰性だった。膵炎を起こすたびに入院にすると入院回数が多くなるので、中等症や重症でなければ、外来で点滴して経過をみて決めている。今日は患者さんも外来治療で帰宅するつもりで来ていた。FOY(のジェネリック)を入れた点滴を2本して夕方まで経過をみたが、症状が軽快したので今日は帰宅とした。今晩はスポーツドリンクのみとして明日の朝の症状で再受診するかどうか決めてもらうことにした。

 喘息発作で39歳男性が受診した。新患担当の応援医師がソル・メドロールの点滴とネブライザーを2回行ったが、まだ喘鳴が目立った。午後にその応援医師から引き継いだ。当地は実家があるが、住んでいるのは別の市で近くの呼吸器科が有名な病院に通院していた。仕事があるので入院はできないという。デカドロンの点滴を追加して、喘鳴がほとんど消失したので、帰宅とした。プレドニン30mg/日の内服を3日分処方した。

 

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週末、いまのところ呼ばれない

2012年12月16日 | Weblog

 今週末は金曜日の当直と土日の日直当直(2名でそれぞれ1日日直と当直)は外部の先生方にお願いしている。入院を要する患者さんがいれば、常勤医の当番に連絡が来る。大したことがなければ、休み中の指示を出してもらうし、緊急を要すれば診に行く。当番は週末通して私だった。今のところ連絡がない。通常は土日でそれぞれ2-3名の入院があるが、どうしたのだろう。重症は対応できないので高次病院に転送してもらうことになっているが、今の時期点滴で数日経過をみる感染性胃腸炎の患者さんの入院が出るはずだが。

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年末年始いつ退院するか

2012年12月15日 | Weblog

 年末が近づいてくると、高齢の入院患者さんをいつ退院させるかが問題となる。お正月を自宅で過ごせるように年末退院というのが一番多いが、逆に年末年始は病院に置いてほしいという希望もある。

 食事摂取困難となって数カ月で10Kg体重減少して、誤嚥性と思われる肺炎で入院していた78歳女性は、肺炎治癒後に点滴を継続していたら、なんとか全粥刻み食(とろみ付き)が食べられるようになった。胃ろう造設の相談もしていたが、今回は行わなくてもよいことになった。まあ、いつ誤嚥性肺炎が再発してもおかしくない。家族の希望は年末外泊させて、いったん年始に病院に戻り、調子がよければ退院を考えるというものだった。

 75歳弾性は脳血管障害で寝たきりとなり、嚥下障害で胃ろうによる経管栄養(腎不全用のリーナレン)を受けている。2か月前にひどい肺炎で入院して、なんとか治ったものの、肺にかなりの後遺症を残していた。もともと糖尿病腎症が進行していて、本来ならば透析の準備(シャント造設)をする段階だが、実際は慢性透析の適応はないと判断された。尿毒症になれば、それまでということになる。現在ぎりぎりのところで過ごしているが、年末に退院にするかどうか、来週の検査結果をみて奥さんと相談する予定だ。

 診療とは関係ないが、病院事務が給料計算(控除などの扱い)でミスをしたために、12月の給料からかなり引かれる職員が出た。循環器科医は40万引かれるというので、怒っていた。「辞めてやる」と言いたくなるのも無理はない。事務の方は、一応あやまったものの、これまで多めに出した給料分を引くだけということで、あっさりしたものだった・病棟の看護師のひとりは、12月分から19万一気に引かれることになった。事務としては、毎月少しずつ引いて調整するのではなく、年末いっぺんに整理してしまいたいようだ。

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祝?開業

2012年12月14日 | Weblog

 父親の医院を継承することになった医師が1週間ぶりに病院に来た。父親といっしょに診療をしていないので、新たに申請が必要だったそうだ。申請が下りて今月から開業医になる。父親が診ていた患者さんたちが待っているらしい。もともと外科医で、内科の研修としては受けていない。外科内科医院を標榜するが、内科疾患の方が多くなるだろう。約9か月いっしょに診療していたが、もう少し内科のことを伝えたかった。最近気に入っている「誰も教えてくれなかった風邪の診かた」をプレゼントした。

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肺炎か心不全か

2012年12月12日 | Weblog

 昨日の82歳男性が午前1時ごろ呼吸困難で救急外来を受診した。当直医は外科医だった。陳旧性心筋梗塞の既往があり、基幹病院の循環器科に通院していた。当直医が肺炎の診断名で基幹病院呼吸器科に搬送した。

 画面上で、検査結果と画像を診た。胸部X線・CTで両側肺にびまん性に陰影があった。スリガラス状と線状影が混じったような陰影だった。右胸水が少量。心拡大はなかった。白血球数12000、CRP2.3でLDHが上昇していた。心不全ではなく、なのだろう。通常の肺炎ではなさそうで、間質性肺炎と思われるが、正解はなんだろうか。

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入院続々

2012年12月11日 | Weblog

 昨日の当直は大学病院から応援の内科医だった。2名の高齢者が入院していた。86歳男性は右下肺野の肺炎で入院した。もともとCOPDがある。前回はインフルエンザA型と肺炎球菌肺炎で入院していた。もう一人は85歳男性で嘔吐下痢の感染性胃腸炎だった。こちらは今日は症状軽減して食事をほしがっていた。心気症で精神科にも通院しているが、意外に体力はある。

 内科新患からも3名入院した。73歳女性は5日前から血便が続いていた。出血量は少ない。貧血もなく炎症反応の上昇もなかった。1年前に大腸内視鏡検査を受けて、詳細は不明だが小ポリープのみだったらしい。腹痛はない。直腸指診で普通便が少量付着しただけだった。CTでは腫瘤も虚血性腸炎の所見がなく、上行結腸に大腸憩室が散在していた。憩室出血なのか?

 78歳男性は嘔吐下痢で受診したが、吐物はすす水様だった。貧血はまったくなかった。普段から胸やけがあるというので、逆流性食道炎でびらんがあり、そこから少量出血したものと思われる。消化器医に相談したところ、ノロウイルスの患者さんに内視鏡を入れたくないと言われた。順調に症状が軽快すれば、2週間後くらいに内視鏡をすることにした。

 73歳女性は2か月前に大腿骨頸部骨折で整形外科に入院して手術を受けていた。朝からふらつきがあって、最初整形外科の外来を受診しようとしたが、発熱があるため内科へ回された。ケアハウスに入所していて施設職員が連れてきていた。胸部X線で肺炎はないが、尿が混濁していて、CTで右腎臓の腫大と辺縁のケバ立ちがあり、周囲脂組織に炎症像(濃度上昇)があった。尿路閉塞の所見はなかった。急性腎盂腎炎の診断で入院した。

 今日脳出血後遺症で胃瘻による経管栄養を受けている78歳男性も転院してきたので、昨日夜間から一気に6名が入院した。

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