なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺癌があった

2012年12月27日 | Weblog

 82歳男性が早朝に発熱で救急外来を受診した。腹部大動脈瘤の術後で血管外科の外来に通院している。前立腺癌もあって。がんセンターで治療後に当院の泌尿器科通院になっていた。PSAは正常域でそちらの治療はうまくいっている。当直の内科医(大学からの応援)が診て、酸素飽和度が低かったことから深部静脈血栓症からの肺梗塞も疑って造影CTを行っていたが、明らかな肺梗塞はなかった。

 胸部X線とCTで左肺に腫瘤があり、胸膜陥入を伴い辺縁は不整で肺癌と判断された。肝臓と右副腎への転移も疑われた。ただし受診のきっかけになった症状とはおそらく関係がない。たまたま検査で見つかったものだ。今年の4月にも胸部CTが外科で施行されていて、その時にも同部位に腫瘤様の陰影(それだけをみ見れば炎症像?)があった。しかしそれは、今腫瘤があることがわかって見るから指摘できるのであって、4月の段階で腫瘍と判断するのは難しいだろう。

 30年以上前に胃癌で胃全摘術を受けていた。発熱があった時に腹痛が出現していて、血清アミラーゼが軽度に上昇していたことから、胃切除後症状群としての胆道系の感染・膵炎の可能性もあるかと思った。ただし根拠には乏しい。肺炎や尿路感染症もなさそうで、胆道系の感染症をして抗菌薬と投与して経過をみることにした。

 肺癌の治療は年齢と合併症を考慮すると、無治療で経過を見ることになりそうだ。家族の希望があれば、がんセンターの外来に紹介して専門医と相談してもらうことにする。

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