なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

Staphylococcus caprae

2022年04月20日 | Weblog

  脳出血で地域の基幹病院から転院してきた89歳女性は、高カロリー輸液を受けていた。

 手関節・肘関節の腫脹・発赤・疼痛が出現して、発熱続いた。血液培養や尿培養も提出したが、関節炎の症状として治療をして、治まっていた。NSAIDsの内服はできず、高熱の時にはジクロフェナク座薬を使用して、後は湿布で対応していた。

 先週高熱があり、血液培養2セットと尿培養を提出した。尿路感染症疑いでセフトリアキソンを開始して、高熱から微熱になっていた。

 週末に血液培養2セット(好気・嫌気ボトル4本)からグラム陽性球菌が検出されて、カテーテル関連血流感染が疑われた。

 尿培養からB群溶連菌(と大腸菌)が検出されて、これかもしれないとも思った。思ったが、血流感染だとブドウ球菌の可能性が高く、バンコマイシン点滴静注を開始していた。

 現在細菌検査室は技師数の減少で院内と外注と併用にしている。今回は外注になっていた。昨日結果が来て、血液培養2セットから、Staphylococcus capraeが検出された。あまり聞きなれないが、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌で、表皮からの感染と判断される。

 コアグラーゼ陰性ブドウ球菌だと、カテーテルを抜かないで頑張るのもあるが、ちょうど?昨日38℃の発熱があり、CVカテーテルを抜去した。

 転院してきた時に入れたCVカテーテルで、どのくらいもつかわかならなかったので、病室で大腿静脈から挿入していた。(3か月以上はもったので入た甲斐はある?)末梢からの点滴に切り替えた。

 左下肢が内転拘縮して、大腿静脈からは入れにくくなってしまっている。首も右側に回旋して拘縮しているが、内頚静脈からの刺入はできるだろう。 

 Staphylococcus capraeはメチシリン感受性になるので、バンコマイシンではなく、セファゾリンで良いが、MICを今週来られる感染症医に確認してから変更することにした。

 

 内科の別の先生が提出した血液培養からは、ブドウ球菌Staphylococcus aureusが検出されていた。血液培養2セットからグラム陽性球菌検出とされた時からバンコマイシンを使用していた。こちらも感受性からはMSSA(ペニシリナーゼ産生のみ)になる。

 当院では血液培養の提出数が減少している。同じ週のうちに2症例で血液培養陽性は久しぶりだった。

 

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肺炎・手関節偽痛風

2022年04月19日 | Weblog

 昨日発熱の91歳女性が内科新患を受診していた。

 前日からうなっていたそうだ。(会話はできるが、体調不良を表現できなかったらしい)その日の朝にデイサービスに出かけようとしたが、玄関で動けなくなった。

 救急要請して、救急隊が対応した時に38℃の発熱に気づかれた。発熱による脱力だった。右手関節の痛みを訴えて、同部位の腫脹・熱感があった。

 内科新患を診ていた先生が診察・検査をした。胸部X線で右中下肺野に浸潤影があり、手関節X線で手関節の尺側に石灰化を認めた。胸部CTで右下葉背側の浸潤影が確認された。

 

 数日前から右肺炎が発症して、結晶誘発性関節炎(偽痛風)が誘発されたという経過のようだ。抗菌薬(セフトリアキソン)とNSAIDs(セレコキシブ)の投与が開始された。(内科系の若い先生が担当)

 今日は37℃ちょっとに解熱傾向となっている。病室に行ってみると、ちゃんと自覚症状を伝えてくれた。

 

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非結核性抗酸菌症疑い

2022年04月18日 | Weblog

 肝膿瘍あるいは肝嚢胞感染の86歳女性は、肺にも病変があった。

 右中葉に小結節影と網状影があった。前回の2回目になる、2月の入院時にはなかった陰影だった。左舌区にも同様の陰影があるが、こちらは殆ど不変だった。

 左舌区の小結節影は1回目の1月の入院時より少し軽減していた。右中葉と左舌の陰影が増えたり、減少したりしていると言う経過だった。

 放射線科の読影レポートは、「非結核性抗酸菌症(NTM)疑い」となっていた。確かに病変部位と経過からはNTMとすると合う。

 

 肝臓の感染症を繰り返しているだけでも困った状況だが、肺感染症もあると複雑になる。喀痰があまりとれそうにないが、何とか抗酸菌塗抹・培養を提出したい。

 

 COVID-19の入院は先々週4名になっていたが、次々に退院して先週末は2名になった。今日1名が退院して1名だけになった。保健所依頼のPCR検査は毎日のようにあるが、陽性率は減少している。

 

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肝膿瘍か嚢胞感染か

2022年04月17日 | Weblog

 木曜日に、これまで2回肝膿瘍で入院した86歳女性がまた発熱で受診した。内科新患を診ていた先生から連絡がきた。

 血液検査の結果、炎症反応の上昇があり、造影CTを行う前だった。前回は血液培養2セットから肺炎桿菌が検出されている。血液培養2セットを追加した。

 前回は肝臓の2か所に膿瘍を認めていた。今回は、多発性肝嚢胞のうち一番サイズの大きい嚢胞周囲に造影効果を認めた。膿瘍になる前の初期像なのか、嚢胞感染なのか。

 

 肝機能検査ではLDHが若干正常域より高値になっているだけで、他はほとんど正常域にある。正常域の高めなので、感染が治まった時と比較すると少し高いことにはなる。

 入院で抗菌薬投与を行うしかないが、再発しやすいのは多発性肝嚢胞だけの問題ではないのだろう。胆嚢摘出後でも胆管拡張はなく、腫瘍マーカーは正常域だった。

 

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もやっとした陰影

2022年04月16日 | Weblog

 火曜日に、施設入所中の88歳男性が発熱で救急搬入された。そこは介護度の高い入所者を診る施設と、ある程度自立している入所者の施設が併設されている。後者の方に入所していた。

 糖尿病で、内科クリニックから持効型インスリンとDPP4阻害薬が処方されていた。高血圧症、脳梗塞の既往もあった。先週転倒して右橈骨遠位端骨折を来していた。整形外科クリニックを受診して、保存的に固定されている。

 その日の朝に37℃台の発熱があり、朝食の時に1回嘔吐した。その後39℃の高熱があり、救急要請されていた。

 咳・痰はほとんど出なかった。腹痛や四肢痛はない。嘔吐したのは熱が上がったためで、嘔吐からの誤嚥ではないのだろう。結果的に誤嚥した可能性もあるが。

 胸部X線で左肺の中下肺野がもやっとしているように見える。胸部CTでは左肺の上葉下葉の背外側に陰影があった。やはりもやっとした陰影と言いたくなる。矢状断で見るのが、一番わかりやすい。

 ちょっと変な陰影だが、肺炎は肺炎で間違いない。発症も急性で、特殊なものではないのだろう。普通に?、スルバシリン(ABPC/SBT)で開始して、その後は解熱傾向となっていた。

 

 

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十二指腸腫瘍

2022年04月15日 | Weblog

 金曜日の夕方に、食欲不振・体動困難の91歳男性が救急搬入されて、救急当番の内科の若い先生が診察していた。

 当院の神経内科にパーキンソン病で通院している。体動困難はパーキンソン病自体の問題かもしれない。食欲不振の原因検索や肺炎の有無をみるため、胸腹部CTが行われた。(頭部CTは変化なし)

 十二指腸下行脚の遠位部に腫瘍を認めた。先月に同様の症状で救急搬入された別の病院でも指摘されていたが、年齢を考慮して経過観察とされたそうだ。(左が今回、右は2008年)

 

 腫瘍の口側の拡張はなく、消化管としては通過はしているようだ。入院して点滴をしながら、嚥下訓練が行われて、(量は少ないが)摂食は可能だった。

 十二指腸癌かGISTかという鑑別になり、放射線科の読影レポートでもそうなっていた。2008年に肺炎で入院していて、その時のCTに十二指腸腫瘍はなかった。4年弱の経過で出現した腫瘍となる。GISTにしては進行が速いのだろうか。

 

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急性細菌性前立腺炎

2022年04月14日 | Weblog

 土曜日の日直(日当直で来ている)は大学病院の外科医が来ていた。夕方に、高熱で救急搬入された92歳男性を入院させたいと連絡がきた。(当方はベローチェにいた)

 肺炎はなく、尿路感染症でもなく、造影CTを行ったが熱源は不明、ということだった。バイタルはショックではない。「培養を」と言うと、「血液培養2セットと尿培養は提出しています」、と答えた。

「抗菌薬はゾシンでいいですか」と言われて、セフトリアキソンかなと思ったが、ゾシンで開始してもらうことにした。1日分の点滴指示を

 日曜日に病院に患者さんを診に行った。(午前中に胃癌末期の入院があり、ちょうどよかった)解熱してきていて、患者さんは案外元気だった。

 どこかで診た患者さんと思ったが、大腸憩室出血の既往が何度かあり、一度入院で診たことがあった。今回は血便・腹痛はない。

 別の病院に通院していたが、大腸憩室出血の既往があり、当院内科に紹介されて現在は別の内科医が診ていた。当院の泌尿器科にも前立腺肥大症で通院している。

 尿所見が全く正常な所見だったが、前立腺炎だと所見が出ないこともある。血清PSAを確認すると、6.353ng/mlと軽度に上昇していた。ただ、昨年6月の泌尿器科での検査でも5.269だった。

 血清PSA値は前立腺炎のマーカーとして使えるが(以前が正常域で、発熱時に上昇していれば)、この経過だと前立腺癌疑いとしか言えない。培養結果を待つことにしたが、尿培養はおそらく陰性だろう。

 造影CTを放射線科の読影依頼にしておいた。火曜日に結果が出て、前立腺右葉に造影効果があり、「前立腺炎疑い」となっていた。(前立腺炎疑いで診てもらうようにしていた)

 

 血液培養1セットからグラム陽性球菌が出ていると報告がきて、陰性桿菌でなければ、コンタミかもしれないと思った。その後、Streptococcus dysgalactiaeが検出されていた。この菌だと起炎菌としてありえる?。

 

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胃癌末期

2022年04月13日 | Weblog

 日曜日の日直(日当直で来ている)は外部の先生だった。午前中に連絡が来て、当院外科で診ていた胃癌末期の71歳男性を入院させたいという。

 最後の外科医が3月で退職したので、その患者さんを消化器科医の外来に回していた。予約日はまだだったので、内科当番の当方に連絡しましたという。土曜日に入院した高熱の高齢男性を診に行く予定だったので、入院させて下さいと答えた。

 6年前に当院の健診(胃透視)で胃癌疑いとなり、消化器科の上部消化管内視鏡検査で胃癌と診断した。当院外科で胃切除術を行ったが、2年後に腫瘍マーカー(CEA)の上昇から再発が疑われた。

 肝転移・骨転移・リンパ節転移が判明して、癌化学療法を行っていた。がんセンターに紹介して、癌化学療法をさまざま行われたが、昨年8月には緩和ケアのみとなった。

 今年の1月から胸水・腹水貯留(癌性腹膜炎)が出現して、病状悪化時はDNRの方針となっていた。最期まで診るつもりだったと思うが、外科医は不本意な移動になった。

 

 入院時の胸腹部CTを見ると、多発性肝転移と胸水・腹水が著明に貯留している。鎮痛薬としてはアセトアミノフェン・NSAIDsが入っていた(腎不全があり、NSAIDsは中止したが、実際は内服できない)。

 アセトアミノフェンは点滴静注に切り替えた。利尿薬(フロセミド・アゾセミド)が処方されていたが、あまり効いていないようだ。

 ステロイドは使用されていなかった。デキサメサゾンを使用(8mg/日点滴静注)してみるが、すでに時期が遅いようだ。医療用麻薬(オキシコンチン)の持続静注を開始して、表情が和らいだかもしれない。

 月曜日に家族が来たので、短時間の面会は許可した(短時間にしてもらうが)。借りている介護用ベットをどうするかと訊かれたので、もう返却してもらっていいと伝えた。

 

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間質性肺炎のCOVID-19

2022年04月12日 | Weblog

 先週金曜日の夕方に保健所から、COVID-19に罹患した81歳男性の入院依頼があった。地域の基幹病院に間質性肺炎で通院しているという。

 先方の病院のコロナ病棟がいっぱいのため、1床空いていた当院に依頼がきたのだった。重症化リスクが本当に高いが、悪化した時は先方に入院している軽症のCOVID-19患者さんと交換すれば何とかなる?、とも思った。

 症状は鼻汁と倦怠感で呼吸困難はない。前日に、最近当地域で始まった公園内での仮設検査所(週1回大学病院から来ている)でPCR検査を受けたそうだ。

 酸素飽和度は97%(室内気)と正常域だった。胸部CTで確認すると、両側肺の下肺野胸膜下の間質性陰影がある。明らかなコロナに特徴的な陰影はないと判断された。

 

 この患者さんは間質性肺炎でプレドニン7.5mg/日を内服している。糖尿病でインスリン自己注射をしていた(持効型と超速効型)。糖尿病性腎症がある。

 腎症でeGFR<30なので、投与しようと思っていたパキロビットキットは仕様できなかった。パキロビットは、eGFRが>60で通常量、60>~≧30で腎不全量の投与になるが、「<30では推奨されない」となる。レムデシビル点滴静注(ベクルリー)も、「eGFR<30では推奨されない」、となる。

 処方は、腎不全でも使用できるラゲブリオ内服にした。今のところ(6日目)、悪化はないようだ、隔離期間の入院で退院にできそうだ。

 

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急性の急性肺炎

2022年04月11日 | Weblog

 金曜日は副直だった。その日の当直は外部の病院の先生で、病院到着まで午後7時まで常勤医が待っている。

 時間外になってすぐに、高熱で動けない90歳男性の救急搬入があった。呼吸器症状・腹痛など発熱以外の症状はないという。救急隊高齢男性だと前立腺肥大症をもとにした急性腎盂腎炎かもしれないと思った。

 その日の夕方までは何ともなかったらしいが、夕方に高熱が出て、ふらふらして歩けなくなっていた。意識は清明で、いっけん認知力は問題なさそうだった。

 胸部X線で右下肺野に浸潤影があり、胸部CTでは右中葉の肺炎だった。肺炎だと菌血症が証明されることは少ないが、他疾患鑑別のためもあり、血液培養2セットと尿培養を提出した。

 喀痰は全くなく、培養に提出できなかった。熱心な病院だと高張食塩水で吸入をして出すのかもしれない。肺炎球菌とレジオネラの尿中抗原はいずれも陰性だった。

 血液検査では、白血球12000・CRP0.3と、まさに急性期の変化だった(白血球は上昇するが、まだCRPが上昇していない)。セフトリアキソンで治療を開始して、翌日には解熱して、食欲良好となった。

 ただ入院後から夜間せん妄がひどく、廊下を徘徊して、尿と便の失禁があった。ベットはナースステーションの近くに置かれていた(直接の監視下に置かれたことになる)。

 日曜日に新規入院で病院に行くつもりだったが、病棟からせん妄の報告があった。肺炎としてはすっかり良くなっている。家族(同居の娘)に連絡して、退院で外来治療にしたいと伝えた。今日は難しいので月曜にしてほしいと言われた。

 就寝前(実際は夕食後)にデジレル25mg1錠を内服すると、その日は朝まで寝ていてせん妄は起きなかった。(必要時指示でデジレルの指示は出ていたが、病棟では使用していなかった)

 今日退院として、抗菌薬内服で金曜日の外来受診とした。肺炎の陰影は気管支肺炎で、肺炎球菌も否定できないが、インフルエンザ桿菌かもしれない。

 新型コロナワクチンは3回接種していたが、肺炎球菌ワクチンはしてないそうだ。外来で行う予定とした。

 

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