わが家の最寄り駅の
プラットフォームに、
電車のミニチュアの形をした本棚があります。
それは「根津メトロ文庫」というスタンプを押された本が
ぎっしりと並べられて、
駅の利用客は、持ち出し自由という図書館なのです
そこで見つけたボロボロの本がこれ、
また、クリスティ
車内のひまつぶしに手にしたのだけど
「ボンド街のちょっと裏にある
古き良きエドワード王朝時代そのままの・・・・」
というホテルが主人公のミス・マープルもの
1950年代に70歳をすぎていたクリスティが書いたお話で、
古き良き上流階級のイギリスを見に来る、
金払いのいいアメリカ人観光客の姿も書かれています。
その当時でさえ、クリスティはミス・マープルに
「そんな英国はもうないのよ」と言わせています。
数十年後に極東の国からさえ観光客がおしよせるとは
予想していなかったでしょうけれどね・・・
ボンド街って、
シャーロック・ホームズのベイカー街もそうだけれど
なんでstreetをストリートって言わないで「街」なんだろ?
Park Laneはパーク・レーンなのに、
なんてくだらないことも考えながら、
私はその昔、ボンド・ストリートにあった、
「ANA高島屋」でバイトしていた20代のころを
懐かしく思い出しつつ読んでいました。
お昼休みには、
裏通りのカフェでサンドイッチ買って食べたな~、とか、
その当時は20代で語学留学中だったのですけど、
さらに遡ってその数年前、
夏休みに友達とロンドンに遊びに来た時、
「三段のトレイで出て来る本当のアフタヌーン・ティーがしたい」
と、勇気を振り絞って、
古くて正統そうなホテルに入り、
大きなソファーで白人のおばあさん達に混ざって
ドキドキしながらティーを注文したのも、
この近くだったよなあ~・・・
確かブラウンズ・ホテルと言ったかな・・・
などと
留学中の貧乏学生にはもはや夢の贅沢を懐かしんだことさえ
それ自体が今となっては思い出です。
そして先ほど本を読み終え、
この本の書評はいかに?
とグーグルしてびっくり
バートラム・ホテルのモデルは、ブラウンズ・ホテルで
クリスティはそのホテルに泊まって
この作品を書いたそうなのです
古き良き時代のたたずまいのホテルなんて
ロンドン中にあると思っていました。
自分がそういう所にあまり縁がなくて、
たった1件だけ頑張って敷居をまたぎ(敷居ないけど)
こっそり室内の写真も撮ったホテルが
モデルだったと知り、
根津メトロ文庫がなかったら読んでなかったそのお話に
妙な縁というか、愛着というか、
不思議なものを感じて興奮してしまいました
お話中に「バターたっぷりのマフィン」
「ほんもののマフィンを出す店などもうロンドンにはない」
というくだりがでてきます。
作品発表後数10年たったロンドンにあるマフィンも
やはり「本物」ではないのでしょうか
クリスティのいう本物のマフィンが食べたい~~