Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

お気に召すまま

2017-10-17 20:52:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


原作もキャストも予習なしで臨んだ有名な「お気にますまま/As You Like It」。

シェイクスピアお得意の男装の麗人が出てくるということだけは解説で知り、楽しみにはしていました。そのロザリンドは同じNTLive「三文オペラ」でローリー・キニアの奥さんを演じたロザリー・クレイグ・・・いや、すみません、顔を覚えてませんでした。

と言うくらいの印象の薄い女優さんだったのですが、少年(女性の男装だけど)の役がたいへんに似合って大正解、印象300%くらいアップしました。たぶん・・・彼女は顔が長いのがロングヘアだと地味目に見えてしまうのかもしれません。しかし、その薄さが少年にはぴったりでした。

ロザリンドは快活で台詞回しもハキハキしているのに、シェイクスピアの喜劇にありがちな、女性のステレオタイプをつらつら並べて女がいかに愚かか、か弱いかを説く部分は正直言って時代錯誤感が否めませんでした。女性がそれを言うところに可笑し味が450年前はあったのはわかるんですが、男女等しく恋する者の愚かさのセリフでは笑えるのに比べ、どうなんでしょう。

ところで、ストーリーは公爵、侯爵という宮廷社会と森が舞台ですが、大道具&衣装からして時代は現代になっていました。森に入るので、みんなダウンベストやジャケットにワークパンツ。おじさんにはヒラヒラした時代劇ふうの衣装の人もいましたが、基本現代。

そして初めはオフィスだったデスクや椅子が、森に入る時に天井に吊るされて茂みのように見せるという仕掛けは斬新でした。

しかし斬新だけど、椅子の形をずっとぶら下げておく美意識はちょっと私は疑問でした。ライティングや床の質感で森らしくは見えるのですが、

それよりも、羊の群れを俳優さんたちがウールのセーターを着て演じていたのが大好きでした!皆さん、四つん這いで演技とはいえ苦しかったのではと心配になりましたが、歩き方や去り方、群れ方がとってもリアルに羊でした。「戦火の馬」みたいなすごい仕掛けもなく、あんな羊を演出したのすごいです。

ところでロザリンドが美少年に見えたのに反し、彼女の恋人役オーランドーは、役柄のせいなのかパッとしなかったなー

と、ジョー・バニスターという俳優さんを調べたんですが、ナショナルシアター・ライブのクレジットには、代表作として「炎のランナー」とあり、ますます不可思議に。そんな昔の映画に出てたような年齢の人でもないので、もしや「炎のランナー」の方がリメイクされた?と思いましたが、

IMDbには出ておらず、そのかわり!新作のドラマ版「ハワーズ・エンド」のチャールズ役で出ているではないですか!ヘイリー・アトウェルが出るので楽しみにしていたところ、急にジョー・バニスターを見ておいてよかった、と思ってしまいました。

そして、シェイクスピアの有名なセリフ、

「この世は全て舞台。
 男も女も皆役者にすぎぬ。
  (略)
 一人が自分の出番に色々な役を演じる
 ・・・」

これは今、短期で仕事をいろいろ試してる私の言い訳にぴったり。
ああ、そうね、仕事によっていろいろな役を演じてると思うと、
ぴったりでもない役とか、カットされまくる役とか、
失敗がいくつかあっても仕方ないかと思えます。
素晴らしい役者さんも素晴らしい役ばかりやっていたわけではないなら、
とにかくベストを尽くして演じたら、
ダメでもそれはミスキャスティングだったというわけ。
自信を失っていたので助かりました。
ヘイホー!