Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

パディントン2

2018-01-19 19:11:00 | ベン・ウィショー


本日から公開の「パディントン2」をさっそく見てきました。この日のために公休をとって備えてましたから、何なら朝1番を、とお休みなのに早起きしました。映画館はかなり余裕があり・・・平日の午前中だからですよね?子供たちは学校ですし、大人の多くはお仕事ですし。

でも映画館へ行ってグッズの棚が2枠あることに嬉しくなりました。キングスマンなどはゼロでしたから。パディントンのは、映画用に作られたものと原作本の挿絵のとふた通りあり、もともとキャラクターが有名だというのはこんな点でも有利なのですね。

さて、ネタバレ満載で語りますので、ご注意くださいね。

nikukiu

1に引き続き、2も始まりはペルーが舞台なのはいい意味で意外でした。なんとパディントンはパストゥーゾおじさん(声:マイケル・ガンボン)とルーシーおばさん(声:イメルダ・スタントン)の親戚の子ではなく、川で流れていた桃太郎だったことがわかります!ここ、重要です。だってこのお話は「ルーシーおばさんにはとてもお世話になったから」とパディントンがロンドンに来たがっていたおばさんのために飛び出す絵本を求めることから始まるんですもの。恩に思う気持ちは血が繋がっていないのにロンドンへ行くのを予定変更して自分を大切に育ててくれたおばさんだからこそ大きいですよね。

1でブラウン家の熊になったパディントンですが、その次にパパのヘンリー、ママのメアリー、娘のジュディ、息子のジョナサンの近況が紹介されます。ここもとてもよくできていて、家族がそれぞれやっていることがすべて後にパディントンを救出するときの作戦の伏線になっていました。

子供の本って短いですから余分な描写はなく、書かれていることがストーリー後半ですべて回収されると読後感スッキリしますが、本作はまさに映画の児童文学です。

家族だけでなく近所の人たちとのパディントンの日常もスピード感よろしく紹介され、カーリーさん(ピーター・カパルディ)が相変わらずパディントンをいじめることを仕事にしていて自前で黄色のベストまで着用して取り締まりの権威を偽造するのには安心と言いますかとにかく笑えます。

そしてパディントンは相変わらず可愛いのですが、近所の落ち目の俳優ブキャナン(ヒュー・グラント)の怪演は想像以上でクマを食っていたような気さえします。

ハムレットやポワロの衣装を展示した屋根裏部屋で、有名な、そして過去に自分が演じた役柄のセリフを喋りまくる独り言ワールドには、かつての自分のポートレートが所狭しと飾ってあるのが最高にシュールでした。「モーリス」のころは本当に綺麗でした。



でもこの映画ではブキャナンが変装して=演技して犯罪を犯すので、「俳優なんて嘘つきだ」とパディントンの味方の人々が口々に言うのも、言ってる人達は全員演技で言ってるのでこれまたシュールなシーンでした。

シュールといえば、あの刑務所、すごかったですよね!イギリスの怖いドラマによく出てくる、あの吹き抜けの階段の両側にずらりと並ぶ建物と強面の囚人たちと看守。



それが人気テレビ番組「ブリティッシュ・ベイクオフ」さながらのケーキ工房になってしまうんですから!それも素朴な英国菓子だけでなく、ベルサイユ宮殿に出てきそうな愛らしくて手の凝ったお菓子が山盛りと。



そしてエンディングでは、先日来日したヒュー・グラントも言っていましたが、監獄メンバー総出演でミュージカルが完成していて、まさしく子供の絵本の世界ってこう言う事が起きちゃうよなあ!と嬉しくなりました。

ところで、落ち目なのは俳優だけでなく、今回はエリート保険会社員のブラウンさんも、中年の危機を感じて顔面パックしてみたり、ブラウンさんの奥さんも仕事で煮詰まったり、ジュデイはボーイフレンドと別れて「男なんていらない」モードに入ったり、ジョナサンは実は古風な趣味があるのに「クールでないから」と今どきのティーネイジャー男子を気取ってヒップホップ風のファッションで粋がってみたり、皆それぞれに現実と戦って生きてるリアルさがあったな・・・

と思ったら、なんとバードさんだけはちっとも迷いも戦いもなく生きてるんですよね。

それとドンブラコと流れる子グマを引き上げたのもルーシーおばさんだし、イギリス人作家と監督の女性観は、私のイギリス老女最強説と重なったのでした。


ところで、監獄ベイカリーだけでなく、ジュディとジョナサンが俳優エージェンシーに取材に行った時に持って行ったパンも美味しそうでした。どこかでこの映画に出てきた食べ物を売ってくれたらいいのにな!!!