眉間にしわを寄せたモースに似つかわしくない背景ですが、設定の1968年から見ても古めかしい映画館の売店コーナーです。モースは、殺人の凶器となったオレンジ・スカッシュを調べているのです。
今エピの舞台となったのはそんなレトロな映画館で、2本立ての特集(ホラーとか)を上映し、終わるとオルガンがステージにせり上がってきてゴッド・セイブ・ザ・クイーンを生演奏し観客も起立してそれに応えるという・・・?!昔映画館で国歌がかかったという話は聞き覚えがありますが、オルガニストを抱えていたとはビックリです。
写真の売店だけでなく、首からトレイを紐で釣って鼓笛隊のような制服を着たお姉さんが客席でもドリンク&お菓子を売っていました。それにカクテルバーもあります。映画館というよりも劇場ですね。
このエピのタイトルCARTOUCHEは、古代エジプトのファラオの名前を囲む文字というか絵文字のことです。
映画館で上映されていたのも「ファラオの呪い」などイギリス人のエキゾチック趣味を掻き立てるステレオタイプのホラーで、それをエジプト人考古学者が怒りまくって「イギリス人には面白いだろうがエジプト文化の冒涜だ」とか昨今の人種差別問題は60年代からすでにあったものとして見せていました。
サーズデーの娘ジョアンもインド系移民の市民相談室で働いていてその建物が襲われたり、ちょっぴり社会問題を盛り込んではいたけど、それがプロットに重要に絡みはしなかったような。
そんなことより、今回は、ほぼずっとグレーの空模様と渋い表情の続くサーズデーとモースのお話の中で、中休みとでもいうのか、0501でモース固いよなあ大丈夫か、と心配していたばかりだというのに、街で会った女の子と飲みに行ってそのままストレンジとシェアしているフラットにまで連れてきちゃった・・・?!
女の子は朝方ストレンジと顔を合わせて「エヘヘ」な表情で帰って行ったけど、なんとサーズデーの姪っ子だったという・・・?!
それでそのキャロルって子はジョアンの従姉妹だからああいう親戚の集いでは年頃も近いし絶対仲良いはずよね、キャロルがジョアンにモースとのことを相談したらどうするの?!と私は1人でドタバタやきもきしてしまいました。
キャロルの父はサーズデーのお兄さんですけど、これがまた偶然レストランで会ったブライト警視正のことをレグとかタメ口きいちゃうし、全然似てないヤクザな男でした。でもキャロルちゃんはかわいいんですけどね。モースは彼女とのことを「マチガイ」とか言ってひどいわ。
今回の事件は、50年も前の軍隊での出来事にさかのぼる重い話(毎度ですが)ではありましたが分かりやすく、モースのデートもあったしファンシーに厳しいのも相変わらず、サーズデーはジョアンと少しだけ距離を縮めて爆弾兄弟はおとなしく帰って行った、楽しく見られたエピでした。