1997年のこの映画をDVDでやっと見ました。同じヘンリー・ジェイムズ原作の「回転」を見て気に入って以来、見ようと思いつつも放ったらかして早数ヶ月...
お話はおもしろかったです!
あらすじ
1910年ロンドン、中流のケイト(ヘレナ・ボナム・カーター)は母の死後、金持ちの叔母(シャーロット・ランプリング)に引き取られた。ケイトは貧乏な新聞記者マートン(ライナス・ローチ)と恋をしているが、叔母は落ちぶれ貴族マーク(アレックス・ジェニングス)と結婚させたい。マークはケイトが好き。
そこへ金持ちで美人のアメリカ人ミリー(アリソン・エリオット)がロンドンにやって来る。実はミリーは不治の病で余命わずか。それを知ってマークは彼女の財産目当てに結婚して富をえ、ミリーの死後ケイトと結婚しようと企む。
ケイトはそこで、ミリーをマートンと結婚させれば彼女の財産を彼が受けづぎ、ミリーの死後金持ちになったマートンと自分が結ばれると思いつく。おりしもミリーもマートンに恋している。
ケイトはミリーと友達になり、3人でベニスに行く。自分の企みの三角関係で3人とも苦しむ・・・
感想
誰もがほしい「愛と金」をめぐる友情と恋愛が複雑に交錯するストーリーが現実的でおもしろかったです。そんなに単純に善悪とか、誰をとるとか、感情ははっきりしないものですよね!
舞台は約100年前のロンドンの地下鉄で始まり、美し~~~いシャーロット・ランプリングが住む美しいロンドンのお屋敷(ハイドパーク、つまりメイフェアかな)、社交界、100年前のオールド・ストリートも出て来ます。ケイトを売った父(マイケル・ガンボンなんですよ)が遊び暮らす如何わしい夜の街だったようです。それに貴族マークのお城はダウントンみたいな家の屋根から庭の兎をハンティングするようなところで眼福眼福!
そして、でた!この時代のイギリス中上流の旅行と言えばベニス~~。ホントにどんだけ好きなの?
あ、あと本編じゃないけど、特典映像で知ったんですが原作者のヘンリーは晩年ライに住んだそうです。私も行ったことがあり素敵な町でしたが、あの時に知っていれば・・・!彼の住んだ家も見覚えあるような・・・
20世紀の始め頃のイギリスといえば、今は「ダウントン・アビー」を始め、「パレーズ・エンド」や「ブライズヘッドふたたび」と「情愛と友情」もちょっと時代は後だけど、美しい映像ものがいくらでもあります。
この「鳩の翼」も有閑階級の美しい生活を描きアカデミー賞もとりました。
・・・がしかし、なぜに今の今まで見なかったのかと言えば・・・
(日本でもたぶんヒットしなかった)
たぶん主演男優がちっとも魅力的でないからじゃない???
せっかくのおもしろい話も、あの男をめぐっての三角関係かと思うと女性ふたりのどちらにもちっとも感情移入できないので困ります。
約20年前、そんなに俳優不足だったのかな。
実を言うとヘレナ・ボナム・カーターもそんなによくなかった。主役のケイトは純粋ながらも悪魔的なところがあって、理屈で言えばヘレナはそういうタイプだけれど、好きになれない。それに髪型を含むファッションが変だ。もしや製作の時代の美意識がおかしかったのかしら。ダウントンではバイオレット様しか着ないようなゴテゴテの衣装を若い娘なのに着てるんだもの。
ということは主演女優も男優も気に入らないってことで、だめじゃ~~~ん・・・(涙)
よかったのは、叔母さんのシャーロット・ランプリング、
落ちぶれ貴族のアレックス・ジェニングス、
それになんと!ミリーの付添人役は、若き日のエリザベス・マクガヴァン、ダウントンの奥様コーラの人なんです。とてもきれいでした。
今ならどんなキャスティングでこの映画を作れるか、と見終わってから考えてるのですが、いい考えあります?
ケイト・・・「情愛と友情」の時のヘイリー・アトウェル?難しい!純粋で小悪魔ってだれだろう?ジェナ・コールマンはできるかな?
マートン・・・マカヴォイ?アレン・リーチ?マシュー・グード?
ミリー・・・ミア・ワシコウシュカ
ふっふっふ、この映画、私は映画館で観たしパンフレットも持ってますよ~♪ 確かにたいしてヒットしなかったと思いますけどね~~~(涙)。
>たぶん主演男優がちっとも魅力的でないからじゃない???
ライナス・ローチ、確かにあんまりなんですよね……実は、レイフ・ファインズ主演で「リチャード二世」が日本で上演された時、ライナス・ローチもボリングブルック役で出ていたのですが、生で観たレイフ・ファインズが息をのむほど美しかったの対し、ライナス・ローチは「ああ?」だったことを憶えています。
>彼の住んだ家も見覚えあるような・・・
なぬううううう! ヘンリー・ジェイムズのライの家と言えば、私の大好きなアイルランドの作家、コルム・トビーンによるジェイムズの伝記小説「The Master」の中で、繰り返し'pretty'と形容されたおうちじゃないですか~。えーーん、私も見てみたい!
くうう???!パンフレット!
私は当時ボックス・オフィスのポスターを見てやめた思い出が~
しかし、後追い特典としてDVDのメイキングにて
ライのヘンリー・ジェイムズの家の写真を見ることができました。
ライはロンドンから日帰りで行けて、案内所でもらったイラスト地図を
片手に町歩きしたんです。その時「作家~~の家」というのがあったことだけ覚えてて。
え~?!
生の舞台でも「ああ?」な俳優がなぜそんなにいい役ばかり?!
容姿もまあまあとは言え、どうも雰囲気が残念なアンダーソンぽくないですか?!
残念なアンダーソン、確かにすごくそれっぽい! そうだ、見ててイマイチ盛り上がらなかったのは、あのそこはかとない残念感のせいだわ。
>案内所でもらったイラスト地図を片手に町歩きしたんです。
ということは、ジェイムズの家はライの中心部からそう離れていない場所にあったんですね。そして、ロンドンとライは日帰りで行ける距離、と……ああ、次にイギリスに行ったら是非立ち寄りたい場所が増えてしまいました。
<<そこはかとない残念感
脇役としては熱い応援を得られそうなんですがね!
美女ふたりを向こうに回すモテ男とか王様になる役にはちと向かないかも・・・
(何度も思うがなぜ主役を得たんだろう)
ライの町は小さくて古いティールームがある中心地も
そこから少し離れた商店街&高台、
海辺のパブもアンティーク屋さんも徒歩で行けました。
私もまた行きたいです。パレーズ・エンドにも出て来たような。。。。