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とても堪能できました。
実話に基づくストーリーで、80歳でKGBスパイ容疑で逮捕されたジョーン(ジュディ・デンチ)。
彼女の若い頃の女優に「キングスマン」のロキシーことソフィー・クックソン。ロキシーも大好きでしたが、第二次世界大戦中という時代物の巻き髪も似合います。そして可憐な中にも今回もケンブリッジの優等生という知的な役です。
愛らしい顔なのに今回も彼女は意志の強い役ですが、そこに恋愛が絡んで、信念は貫くもののその結果同時に自分と愛する人たちの運命を大きく狂わせてしまいます・・・
愛する人のひとりがレオ(トム・ヒューズ)。
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カリスマ的な共産主義者なんですが、どうも私への印象はカリスマというより暗い。
ヒロインがなびくくらいだから色男の役ではあるものの、影が拭えず、それはのちに理由が判明するのですが、余計に影は濃くなった。なんだかトム・ヒューズの役としてすっきりしない。。。そうだ、それは下のネタバレに書きます。
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反対に、ジョーンに恋する研究者マックス(スティーヴン・キャンベル・ムーア)の存在が良かったです。全然好みのタイプの俳優ではないけれど、この人がいなかったら私はこの映画をあまり好きになれなかったくらい、救われました。
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ここから、ネタバレありの感想です。
実話ベースというのは「ソ連のスパイとなった」という部分で、ジョーンのふたつの恋愛がどこまで本当だったのかはわかりません。
ジョーンについて「いいぞ!」と思ったのは惚れた男にも自分が仕事で誓約した秘密は断固渡さなかったこと、原爆の情報をソ連に渡したのはヒロシマの原爆被害をテレビで見て、「こんな破壊力の高い武器を西側だけが持つのは世界の勢力の不均衡、情報をシェアすれば平和が保てる」と判断したからだということです。
そして「できすぎなんじゃ?!」と思ったのは、逮捕されたマックスにスパイ行為をしたのは自分だと告白したにもかかわらず、マックスの愛は変わらず、結果ふたりは結ばれることになる、しかも逮捕されたから前の奥さんから離婚されて。この上手いオチはマックスの高潔な愛によるものですが、なんとなく舞台っぽいな〜と思うのは監督がシェイクスピア畑のトレヴァー・ナンだからの私の偏見かもしれません。原作小説があり、さらに脚本は別の人なので。
結局トム・ヒューズのレオは、別の女と結婚して子供までいたのに、その夫婦にジョーンは嵌められていた、ってオチが、レオにがっかりした原因ですねー。あ〜もう女に使われて結局権力に殺されて。どうせなら「アナザー・カントリー」のルパート・エヴェレットみたいに老いさらばえるまで小者スパイ感を出してくれたら逆にすごいな・・・と思えたのに。
ところでオックスブリッジにはMI5やKGBからスパイのスカウトが来るというのはイギリス映画ドラマを見てすでに知ってましたが、大学にロシア人もいたこととか、ソ連がイギリスにとって敵なのか味方なのかわからないあたりがこの映画で実感できて、そりゃあスパイ合戦になってしまうわ、と思ったのでした。
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