男前なエディ!その名もエンジェルとは出来過ぎでは?
実はこれが私の初「テス」でした。原作は有名なイギリス文学、そしてロマン・ポランスキーの映画も見たことがなかったので、このドラマがどの程度原作に沿っているかは不明ですが、ヴィクトリア時代の女性の悲しさを嫌という程見せられる・・・耐える女は西洋にもいたのね、というお話でした。
主演のジェマ・アータートン、第一印象が「ダウントン・アビーのメアリー役、ミシェル・ドカリーに似ているなあ」だったんですが、メアリーとテスの共通項は「誇り高い女性」ということで、イギリス人の考える女性の誇りとは・・・と考えてしまいます。
誇りに女も男もないと思うんですが、不思議と「誇り高い男」というと悪くすると「マーリン」のアーサーのようにただのタカビーになってしまい、もしかして「誇り」って意外に女性の専売特許なのでしょうか。
あらすじは有名小説ですが、ドラマのストーリーはこうですー
美少女テスは雇い主の息子アレックに強姦され産んだ子供もすぐに死ぬという不幸な人生を送り始めていたが、また働きに出た先で出会ったエンジェルと相思相愛で結婚する。
しかし、テスは母親の「過去を語るんでないよ」という教えに背いて新婚初夜に夫に自分の不幸な経験を告白してしまう。
新しい自由なタイプの男に見えたエンジェルは、女性の貞節については意外にもテスを許すことができず、テスを置き去りにして南米へ行ってしまう。
実家に戻ったテスはまた働きに出るが過酷な農場にしか職がなく、父が死んだ後家も失い、惨めな暮らしをしているところをアレックに見つかり、テスは母と妹達の生活のために情婦となる。
旅先で熱病にかかっていたエンジェルが帰国し、テスの手紙などで彼女の愛を知り探し出すが、テスはアレックを殺して二人は逃亡する。
やっと愛を確認して結ばれる二人だが、警察に見つかりテスは死刑となる。
ええっと、まずエディの役エンジェルというキャラクターが面白かったです。彼は神父の父の三男で、文字通り一家の天使のような、因習にとらわれない自由思想のお坊ちゃん。
しかし、この新しいタイプだと自認していた男も、自分の奥さんが処女でなく子供まで産んでいたことを知った途端に「ありえない?!」となるんですよね。そこから自由な自分との闘い、葛藤に追い込まれる。まあ彼の場合は自分もエンジェルだしそういう自分の奥さんも処女でないなんて考えつかなかったのでしょう。
その辺のお坊ちゃんな欠点を持つ美男子という役はエディ・レッドメインにぴったりなんですけれど、そこが後半で少し弱すぎたような・・・
病気で弱ってもいるのですが、せっかく頑張ってテスを探し出し再会したのに、テスに「遅すぎるわ」と言われて汽車に乗って帰りそうになってしまうし、
アレックを殺して追いかけてきたテスの切羽詰まった状況もなかなか汲み取れず「いいことと悪いことの区別がつかないのか?」なんて言ってしまったり。
そこからの逃亡ではテスをちゃんとリードしてくれたのだけれど、警察に捕まってからは何もできずに処刑の日に泣き崩れるばかりとは。。。
次に悪魔のような男アレックですが、
彼は最初は悪魔じゃなかったと思うんです。放蕩息子ではあったけど、彼は心からテスのことを愛してたから、男女のことも知らないテスを犯すという間違った方法だったけど自分のものにしたはず。この時だったらまだアレックも紳士だったのに。
それがエンジェルの父によって信仰に目覚めて善良になったというのに、テスに再開したら、本当にとんでもない男になってしまったんです。セリフにも「お前が俺の悪い血を目覚めさせるんだ」と言っていたけど。あの豹変ぶりはなんだったんだ?
で、テス。
テスというキャラは、まず絶世の美少女なんですが、すごいピュアなんです。だから母の教えに背いて「告白」してしまわないと夫を騙す罪に耐えられなかった。
でも私もこれは経験があるので声を大にして言いたいのですが、どんなにリベラルな男でも、女性は自分の過去の男の話はすべきでないのです!私もテスのように失敗して失恋したことがあります!!ましてや結婚したいならなおさら!バカなテス、バカな私だったわ。だから母親が「過去のことは決して人に話すんじゃないよ」とテスに言った時から私は嫌~な予感がしてたんですよ。相手がエディならなおさらですよ!
しかも、最後の最後、アレックを殺して二人で逃げる時、北に逃げようと提案するエンジェルを「なぜこの喜びを後1日続けないの?」とベッドで全裸で説得したのも馬鹿だったんじゃないかと私はヤキモキしました。
エンジェルのいうとおりに逃げていたら、外国まで行ってしまえば捕まらなかったかもしれないのに。だって、南米で熱病にかかったエンジェルは数ヶ月も行方不明になってたんですよ?
それなのに、やっと思いを遂げられたとはいえ、空き家に家宅侵入してずっと二人でベッドに寝てて管理人さんに見つかるなんて諦めが良すぎやしませんか?惨めな暮らしにずっと耐えてきたのに、エディ=エンジェルとの結婚生活があんなに短く終わっていいと何で思えたのか私にはわかりません!
しかし、管理人が来てやっと逃げた先がストーンヘンジって何?
私は「マーリンが作ったサークルだわ!」と変な方向で盛り上がりましたが、あれは二人にとって何か意味があったのかよくわかりません。
その辺が原作には何か書いてないか確認するためにラストシーンだけでも読もうと思っています。
どうやら原作にたいへん忠実なドラマなのですね。
私のように本を全部読んでない人にはありがたい。(ラストの方だけ読みました。)
>>エディには敢えて脱いでもらわなくていいエディには敢えて脱いでもらわなくていい
確かに!このシチュエーションではなぜかちっともセクシーでない。
先に「リリーのすべて」とか見ちゃったからいけなかったのでしょうか。
女装の方がセクシーですが。
>>歳を取るってこういうことでしょうか
私も高校生の時に読むか見るかしていたらテスに同情したのでしょうかね。
でも少女にもおばちゃんにも同情されないエンジェルって。。。。
テスの意思で妹と結婚したんですかね。
それも情けないような。
でも私が妹だったら「お姉さんのおさがりだけど可愛いから我慢するか」
と思うかもです。
お借りしたDVDを見せていただいてからというもの、直接お話しする機会があれば感想をお伝えしたい気持ちは大いにあったのですが、何しろ話の内容が内容だけに場所柄をわきまえずにわあわあ喋るわけにもいかず……。
このテレビドラマ、原作にほぼ忠実に作られていました。そのため、ストーンヘンジがどんなに唐突だろうと、原作でテスがストーンヘンジで逮捕されるんだから仕方がありません(苦笑)。
>お坊ちゃんな欠点を持つ美男子という役はエディ・レッドメインにぴったりなんですけれど、そこが後半で少し弱すぎたような・・・
南米まで行ったものの病気になってあっさり帰国という情けなさにぴったりではありましたが、その分、せっかくの(?)ヌードシーンがセクシーさに欠けるというか……私の趣味の問題ではありますが、エディには敢えて脱いでもらわなくていいですw
>女性は自分の過去の男の話はすべきでないのです!
私が初めて「テス」を読んだ時は高校生だったので、「正直に打ち明けたテスを無残に置いてきぼりするなんて、エンジェル、お前はアレック以下だ!!!」と激しく憤ったのですが、すっかりおばちゃんになった今では「テス、バカすぎる……」と思うようになりました。歳を取るってこういうことでしょうか。しみじみ。
<<イギリスの田舎って何て怖い
本当ですよね!でも他の映画やドラマを見た今となっては
田舎が舞台だとこんな話ばっかりのような。
<<自分自身に対する誇りが社会的成功につながらない
面白い考察です!
誇りって、それを鼻先にぶら下げた途端に姿を消すというか(成功=タカビー)
成功しなくても内に持ち続けるか、
または成功している場合、他人には謙虚&親切でなくてはいけませんね。
原作はまだ目も通してないのでわかりませんが、
このドラマは面白くてちっとも眠くなりませんでした。
ただキラキラしたエディに目が釘付けになってただけかもしれませんが。
原作小説はうんと昔に図書館で借りて一度読んだきりですが、このテレビドラマは原作にほぼ忠実に作ってあると思います。一読して、イギリスの田舎って何て怖いところなんだ、と、心底ビビった記憶が。
で、私ももう一度内容を確認しようと思い、岩波文庫版を買ってきました。年末年始の帰省時に読もうと画策しているのですが、新幹線の中で読めるかなあ、読むつもりで爆睡するのがオチかもなあ。
>「誇り高い男」というと悪くすると「マーリン」のアーサーのようにただのタカビー
「誇り高い男」といわれて今の私がとっさに思い出すのは「パレーズ・エンド」のクリストファーですが、「誇り高い」と一口に言っても、社会的に成功をおさめるタイプはただのタカビーになり、社会的に成功をおさめられないタイプは誇りだけを胸に敗者として消えていくのかなあという気もします。誇りというより矜持といったほうがいいのかしら。しましまさんが「「誇り」って意外に女性の専売特許」と感じられたのも、男性と違って女性は(夫とか息子ではなく)自分自身に対する誇りが社会的成功につながらない(とされている)ことと関係しているように思えたのですが……?