Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

藤田嗣治

2015-10-23 08:30:00 | 異文化
千代田区北の丸にある東京国立近代美術館の「藤田嗣治、全所蔵作品展示。」を見て来ました。有名な「5人の裸婦」「タピスリーの裸婦」「猫」「自画像」もありました。

タピスリーの裸婦

そして、その有名な作品たちよりも、数も多くサイズも大きいのが作風のまったく違う暗い戦争画の数々でした。その展示品の構成が、日本におけるフジタの存在感を語ってるかもしれない・・・という思いが過りました。つまり、女性や猫の華やかな数点はヨーロッパでの栄光の片鱗、そして大量の厳しい重い戦争画が日本で彼が置かれた立場というふうに。

私はフジタが好きです。
パリで売れた時代の絵は本当に魅力的だし、100年前にまだ日本が今よりも貧乏だった頃に渡仏し、苦労の後に絵で成功し、その後帰国して日本の画壇から冷たい仕打ちを受けながらも日本政府の要請で戦争画を描き、挙げ句に戦争責任までとらされそうになり、再び出国、フランスに帰化しキリスト教徒として死んだその生涯にとても惹かれます。

たぶん、私もずいぶん前にたった1年だけど1人でロンドンに住んだ時に感じた、無知から日本を貧乏で可哀想な国と思い込んで優越感を持つ人もいる国で、本当に貧乏に生きてた孤独を、彼のパリ時代に重ねて見るからかもしれません。

ずいぶん前というのは1989-90年でちょうどベルリンの壁が崩れた時なのですが、今と決定的に違うのはネットもスマホもなかったし、格安プリペイド国際電話カードというローカル通話料並みの料金で日本に電話がかけられる仕組みもなかったので、本当に日本とイギリスはまだ遠かったのです。

フジタはさらにもっと昔、たぶんヨーロッパから見たら、日本はフィリピンとかタイあたりと並ぶアジアの小国のひとつだった頃、船でヨーロッパに行った時代です。

芸術の最先端の都市で、後進国から来た無名の人間が認められようとしたら、その国や近隣にはなくて自分にはあるもの、日本画の画法や器用な手先の技術を使って作品を仕上げるのはもちろん、それをより多くの人に見てもらうには、髪型や眼鏡で自分のキャラを作り、カフェやパーティーで派手なことをしてプロモーションする必要があったでしょう。

このへんの心理は、例えば映画ファンだったら、海外のコンやレッカペに行って自分のお気に入りの俳優さんに会う時に、ほかのファンや俳優さん本人にちょっと一目おかれたいと日本の着物を着て行く心理にも通じると思うんです。日本人が西洋人の中に入った時、身長は低いし言葉のハンデもあるし、髪と肌と目の色合いも地味なので埋もれてしまうんですね。何かで自己主張しなくてははるばる日本から行っても自分の存在がないものになっては意味がないじゃないですか。

でも日本人は本来が生真面目ですし、そういった西洋での同胞の心理は体験者にしかわからないし、国内の西洋画の世界は閉鎖的で封建的(お茶やお花のように偉い先生が頂点のピラミッド)もちろん本場の西洋に数十歩も遅れた独自の世界でしたから、パリでのパーティーでのおふざけは奇行として軽蔑され、絵も認められなかったのです。

でも日本の有名な西洋画を見ても、私にとって当時のフジタの美人画よりも魅力的なものなんてないです。当時の日本人で本物の西洋画を見たことのある人は限られていたでしょうから、肝心の絵を見る目があった人もいなかったのでしょう。

普通は本場で成功したら国内でも認められるのが日本なのに、絵だけでなく本人も目立っていたが故に嫉妬されたと、ユーモアや羽目を外すことを知らず、出る杭を打つ日本人気質の悪い部分の犠牲になってしまったと思われてなりません。

折しもフジタは2度の世界大戦にも振り回されて、特に太平洋戦争では戦争画を精力的に描きました。東京国立近代美術館の展示の解説で知ったのですが、それらの絵は西洋の伝統的な戦争画の手法で描かれているそうで、フジタ研究の何かの本で読んだのですが、彼は政治的なことにはあまり興味がなく、戦争画も絵の新たな境地に挑んでせっせと創作に励んだようなのです。もっとも、あの時代の日本では軍に逆らったら生きて行けませんから。

しかし敗戦で、戦争画家として危うく戦犯にされそうにもなり、彼は祖国に2度目の失意を抱き、また国を出るのですよね。

南米や北米を経由し、最後はフランスの田舎で、教会をデザインしその壁いっぱいにフレスコ画を描き、自分の描いた「最後の晩餐」の絵の元に遺骨が納められているそうです。

数年前、上野の森美術館で「レオナール・フジタ展」を見て、画家の人生とその時代にとても興味を持ちましたが、今年は映画もできました。11/14公開で、東京国際映画祭でも10/30にワールド・プレミアです。



「藤田嗣治、全所蔵作品展示。」は12/13まで開催中。



アリタリア・ベア

2015-10-22 21:23:00 | イタリア


9月末にパンディントンに会いに行って来た「ツーリズムEXPO」。アリタリア航空のSNSキャンペーンで「アリタリア・スチュワーデス・テディベア」が当たりました!

アリタリアのブースで撮った写真をSNSにアップして応募すると、イタリア往復航空券が1名に当たるというものでした。私が当選したのは10人が選ばれる「楽しかったで賞」。

ベア、空港、制服好きの私のポイントをかなりつかんだプレゼントが嬉しいです。しかし、スチュワーデスにしてはちょっぴりオーバーサイズなクマちゃん、既視感がある・・・・と思ったら・・・キャビン・プレッシャーのキャロリン・・・・


マシュー・ボーンのショックな思い出

2015-10-20 22:41:00 | その他の映画・ドラマ・舞台
「マシュー・ボーンの眠れる森の美女」について書いていたら、夏にイギリスで体験したことを思い出しました。



きちんと計画を立て旅行へ行ったのが初めてだったもので、既に予約したスケジュールで頭がいっぱいで、私が滞在中に「マシュー・ボーンのザ・カー・マン」がサドラーズ・ウェルズで公演中だったことを、バスで通りかかるまで知らなかったのです。

バスの中からポスターを見つけて興奮してまず写真に納め、見に行けるかな?とスケジュールを頭に巡らせていたら、その日の夕刊新聞を見て驚きました。

なんとその日、主役ダンサーJonathan Ollivierが、千秋楽の舞台に向かう途中交通事故で亡くなり、公演は中止になったのです。

私が通ったのは、事故と公演開始時間の間でした。どおりで劇場の前の雰囲気が、人は少なくなかったけれど、なんだか公演前のウキウキした観客達の一体感のようなものが感じられなかったはず。あまりにも急な事故だったので、劇場に来て公演中止を知った人も多かったのです。

千秋楽だったので、事故が起こらなくても私は公演を見ることはかなわなかったのですが、こんなことが現実に起きてしまうなんて。千秋楽の舞台を踏めなかった彼の魂を思うと心が痛い。

やりたいことや見たいものは、いつ自分が事故にあっても後悔がひとつでも少ないように生きなくてはいけない・・・・と思ったのでした。



マシュー・ボーンの眠れる森の美女

2015-10-19 19:32:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


2013年ブリストルでの舞台を収録した映画を見ました。改装後の恵比寿ガーデンシネマよかったです。

ボーン版のあらすじ

オーロラ姫が誕生パーティーにて妖精カラボスから「成人した時にバラの刺が刺さって死ぬ」という呪いをかけられ、それをリラの精が「100年の間眠りにつくが愛する人のキスで目覚める」と呪いを軽減するところは原作と同じです。

違うのは、カラボスは追放されて死に、遺児カラドッグが王女と結婚しようとせまること、それから王女にキスをするのが王子ではなく狩猟番なのです。しかも彼は100年後も王女に会えるように永遠の命をもらえるのです。

リラの精も古典バレエでは女性ですが、ここでは伯爵です。でもボーンの世界ではその程度のジェンダー変換では驚かない(笑)。でもそれだけじゃなく、妖精達はヴァンパイアなのです。


感想

いやあ、期待以上に良かったです!!
見た後にチラシを見返したら「ゴシック・ロマンス」とサブタイトルがついてるのですが、まったくその通り、「クリムゾン・ピーク」で高まってる気分が宇宙にまで行ってしまいそうでした。

舞台セットも衣装もゴシックで、時代が1890年~1911年~現代と変わり、つまりヴィクトリアン~ジョージアン~現代と人と風景が変わります。現代とは言え、呪いの館そのものの古いお屋敷が舞台で、しかもカラドッグとその仲間は秘密クラブのコスプレパーティーのように赤と黒で統一された衣装、現代的なのは狩猟番が妖精となったというのにジーンズにパーカといういわゆる平民の服装です。でも妖精なので小さな羽がついているのがかわいい。

ヴィジュアル的に素晴らしいのは、全4幕のうち1、3&4はカラスの羽飛び散る(カラボスはカラスの羽をつけた妖精)暗~いゴスなのだけど、1911年の2幕だけ、姫の成人パーティーに集う人達みな真っ白の衣装で「ベニスに死す」の世界+バレエ・リュスのテニスのバレエ「遊戯」の世界で、そのコントラストでまったく飽きません。

それとボーン・オリジナルのキャラクター、カラドッグはすごくよかった。なぜなら、古典バレエでも笑いをとる役のカラボスは女性の妖精にもかかわらず男性ダンサーによって演じられるから。ボーン版では母カラボスと息子カラドッグをひとりのダンサーが1人二役で演じていて、その存在感が呪いを体現していたし、ちょっと退屈になりそうなお伽噺の単純な話をエロチックな仄めかしでいっぱいにしていました。

カラドッグが黒いエロスの象徴だとしたら、オーロラ姫と相思相愛の狩猟番はまるで背が伸びたホビットみたいに平和でのんびり屋でした。

実はそこが私の1番の疑問でもありました。なぜ王子じゃなくて使用人なの?

・・・その答えが浮かばないので、ちょっと調べてみたら、マシュー・ボーンが「オーロラ姫は、子供に恵まれない国王夫妻の実子ではなく、実は健康な平民の子を養女にしたのではないか?」と仮定していたことがわかりました。ですので、このオーロラ姫は深窓の令嬢ではなく元気なお転婆娘なんですね。と言うことは、平民である狩猟番との恋も身分違いではないし、もしこれが王子だったらシンデレラになってしまう。そしてこの設定、マシュー・ボーン本人も労働者階級の人だってことと関係ないでしょうか。



マシュー・ボーンは「白鳥の湖」と「くるみ割り人形」を舞台で見たので、映画版だけれど「眠りの森の美女」でチャイコフスキー3大バレエ制覇になります!ってたまたまそうなりました(笑)。

でも実はその3作品しか見ていないので、他のもこれは見なくては!



Time Out LondonのJapan

2015-10-18 21:26:00 | 異文化
ロンドンの情報誌「Time Out London」にロンドン・フィルム・フェスティバルの特集があり、ベン・ウィショーの記事もあるというので友人にたのんで持って来てもらいました。

こんな

そしたらこの号、表紙は我がニッポンのきゃりーぱみゅぱみゅ。
彼女のUKショーの宣伝も兼ねてTime Out Tokyoとコラボした「日本特集ページ」もありました。その中で気になった「You can turn your dinner into a weird theme park experience(食事だってキモいテーマパーク体験に)」という記事には、ベネディクト・カンバーバッチも連れて行かれた「Ninja Akasaka」と並んでいくつかのカフェの紹介がありました。そこで!ロンドンから東京に遊びにいている友人と今までにないトーキョー体験もしよう!ということで、その中から2つの場所に行ってみましたよ。

ひとつめ「舞踏の国のアリス」in Shibuya



地下なのに天井が高く、コーヒーカップのメリーゴーランドが中央に設えられたレストラン。壁と鏡中にアリスの世界のイラストが描かれています。店員さんはアリスのコスチュームでサービスしてくれます。



↑ 芋虫のピザ 逃げ足が早いそうです



↑ チェシャ猫のサラダ 身体は茄子と南瓜でできてます!!

この「アリスのファンタジーレストラン」というチェーンは全国展開で、同じアリスでも微妙にコンセプトが違っているので、あと銀座の「迷宮の国のアリス」も気になっています。女子会にぴったりですね。渋谷店には個室の小部屋もありました。



ふたつめは「カワイイモンスターカフェ」in Harajuku



こちらはもっと毒々しいかわいさのお店で、毒々しさてんこ盛りのコスプレ(?)のお姉さん、お兄さんがサービスしてくれます。きゃりーぱみゅぱみゅともコラボしているクリエーターらがプロデュースしていたり、人気モデルの藤田二コルちゃんも来店したなどで、若い女子やカラフルな色の髪をした原宿コスプレ大好きの外国人ガールズでいっぱいの中、私と娘を含むグループは外見が普通の外国人のおじさん&おばさんや8歳と11歳のキッズも混じり、あの場所では一番違和感があったと思います!

こんな異空間スペースって、東京には昔からクラブなどで夜の大人の遊び場としてはありましたけれど、渋谷や原宿といったメジャーな場所で昼間から、そしておそらく禁煙(煙くなかった)、というのが新鮮です。