このブログを始めて12年半。
最初の頃はワインの事も随分と書きましたが、ここ暫くは「たまに」書く程度です。
もとより「特定のワイン」や「お高いワイン」に関しては書く気にもなりませんが、それにしても「そむりえ亭」の名前からすると少なすぎるのかもしれないな、と反省しています。
と、いうことで・・・
ちょっと「好み」について。
先日、妙齢のご婦人グループがお越しになりまして、その時の話。
皆さん、ワインスクールに通われているとか。
ですので、そこそこお詳しいのです。
しかし、ご主人は違うらしく
「私が飲みたいワインを開けても興味を示さず、安もんばかり飲んでいる」
「ボルドーみたいなのが好きと言っていたが、急にピノノワールも美味しいと言い出した」
実は味覚ってそんなものですよね。
子供の頃に好きだったものが大人になると変わってたり、大阪人の場合「納豆なんて食べるもんちゃう」と言ってたのに「納豆なしでは朝食が寂しい」と言い始める人も少なくなく、「渋いワインが苦手やったけど、いつの間にかそればっかり」となったり・・・・
そんなことは身の周りでしょっちゅう起きています。
だいたいワインの好き嫌いに関していうと、多くの場合は適切に飲まれていないことで疎まれていただけのものも多く、好きになったワインは出会いの環境が良かっただけかもしれません。
少なくても私にはワインの好みはありません。
例えばお茶縛りでいうと「麦茶」も「緑茶」も「抹茶」も「紅茶」も「烏龍茶」もその時々で何を飲みたいか?も変わります。
いくら「焼き肉が好き」「キャビアが好物」とはいえ、毎日毎日続くと辛くなり
お茶漬けはメインディッシュには物足りなくても二日酔いの日には愛おしくなるものです。
ですから同様の理由で「ワインに好みは作らない」ことは幸せの近道かなと・・・
出会い方、マリアージュ、ボトルコンディション(温度や澱、保存環境)等々によって、或いは誰と飲むかによっても美味しさは変わるのです。
っていうか、好みを公言していると「周囲の忖度」で違うワインと出会う機会が閉ざされてしまいます。
手前味噌ですが、そむりえ亭ではグラスワインで合わせますので一回の食事で何種類ものワインを楽しめます。
「一つの好みに縛られないで良かった」と言って頂けるように精進したいと思います。
樋口誠